リサイクル親父の日記

第711話 仙台の古~い市営住宅で母が1人暮らしで・・・

2009/08/15

仙台市郊外の古い市営住宅の中年女性から電話があった。
整理ダンスの買取はできないかと切実な声である。
使用年数や状態を聞くと、詳しくは分からないが状態は良好らしいので迷ったが見積もりに行くことにした。

数十棟の集合住宅建ち並ぶ、最近付けたナビは目的地付近で到着を知らせてガイドを終わってしまう。
棟の番号を探すと、一段高みの方に目的の棟があったので再度道路に出て入り直しをする羽目になった。
部屋番号がちょっと分かり難くてここでももたもたしてしまう。

部屋に入ると線香の臭いがプ~ンと鼻にきたから、俺は状況が理解できた。
古い集合住宅だから一部屋が小ぶりで狭い、その居間に小さな仏壇があって遺影が見える。
別室に来客がいたらしく、俺が入っていくと来客はそそくさと辞して行った。

「母が1人暮らしで住んでたんだけど・・・・遺品整理というか・・・片付けに・・・・」
彼女は淡々と説明するけど、特に悲しんでいる様子はない。
というよりは、迫っている片付けやら隣近所や母親の友人知人への挨拶などで忙殺されているようだった。

「部屋を空けるのに業者を呼んで見積もってもらったら物凄い金額で・・・
それで、全部捨てるのはもったいないし、物が減ればと思って・・・電話したんです・・・」
部屋の様子で慎ましやかに暮らしていたと思えるし、彼女も慎ましやかな生活をしていると思えた。

「今週いっぱいしか時間がないんです、子供のこともあるし・・・役所の手続きもあるし・・・」
俺は彼女が今は遠隔地で暮らしていて、母親の始末をしている。
そして、片付け費用も安価にしたいし、幾らかでも何かでも誰かに利用して欲しいと願っているのを感じた。

「分かりました、できるだけ多く買取、引取するようにします」
そして大型の家具類を5~6点、小物類を数十点買取することにした。
日取りを決めて部屋を出ようとしたら彼女が言う。

「残りの処分を何処か紹介してもらえないでしょうか?最初のところはちょっと・・・」
遠隔地に住んでいるから仙台の状況は分からないから、とりあえず俺に相談するしかなかったかもしれない。
俺はその場で知り合いの業者にケータイから事情を説明して、直ぐに来てもらうように頼んだったのだ。

その日の数時間後に俺が頼んだ業者から、受注したと電話があった。
なんと最初の業者の3分の1の値段で決まったそうだ。
俺が買取して少しは物が少なくなったが、それは彼女にとって計り知れないメリットなのだ。

後日、俺が買取に行った時に彼女が言う。
「リサイクル屋さんに相談して本当に良かったわ」
彼女の喜びは、俺を奮い立たせてくれたし、今後もしっかり頑張ろうと誓ったりした。