リサイクル親父の日記

第737話 約束は破られるよ・・・仙台リサイクルショップ親父はギャフンとなる

2009/09/11

最初に買取の電話をもらって、その日は予定がないので速攻で出かけて行った。
80歳を超えたお爺さんが独り暮らしで、それが心配になって娘さん夫婦と同居することになった。
耳も身体も相当弱っているからしょうがないが、娘さんの家に迎えてもらうそうだ。

お爺さんの暮らしていた家はまだまだ立派だが、中の物を片付けて売却する運びだ。
だから、お爺さんの持ち物や家具類を買取できないかと相談されたのだ。
当日、お爺さんと娘さん家族が揃って居た。

初めは俺は状況が理解できずに苦慮したが、話が進展するに従い分かってきた。
その日は見積もりということだったから乗用車で行っていたのだが、話がまとまり車に積める分を買取したのだ。
後日、家具類や食器、置物などを娘さんの片付けが済んだ後に買い取る計画にした。 

7月末の話で、8月はお盆だし、9月になったらといことになった。
準備ができた時に娘さんが電話をくれるというので、俺は期待しつつジッと待っていた。
食器棚、サイドボード、本箱、整理ダンス、チェストなど家具が10台以上で20年前のデザインだが重厚な造りなのだ。

月が変わっても電話がないから電話をしたが留守だ、数日後に再度電話をした。
50代の娘さんはあっけらかんとして答えた。
「あの後ね、親戚や知り合いの人が来てね、良い物だから欲しいって言われたね、アゲちゃったの・・・」

俺はその明るく何の悪気もない話し方に茫然自失となった。
「エッ!???アッ・・・そうですかぁ~」。
「それに片付けを手伝ってくれたし、みんなは喜んでたし」。

「ウチは倉庫を空けて待っていたんですが・・・」弱弱しく俺は言った。
「ゴメンナサ~イ・・・早く片付いて助かったの、ごめんなさいね」だって。
裕福に育ったろう娘さんには下々の暮らしや仕事ぶりが分からないのか、約束は約束ではなかった。

要らない物を片付ける人には価値は低いが、買取をして商品にする俺には大切な有価物なのだ。
運ぶ作業や手入れする手間暇はかかるが、当然得べかりし利益を見込んでいるのだった。
それを逸失利益と呼ぶが、これは痛手が大きいし、金持ち娘さんの能天気さに精神も萎える。

ヤッパリ、仕事は速く、早く、ボルトの如く進めないとならない。
それでも空約束に振り回されることが多いが・・・