リサイクル親父の日記

第743話 やはり「美の壺」ですね、仙台のリサイクル親父も話が合うよ!

2009/09/17

午後のまったりした時間帯にご夫婦で来て、暫し骨董コーナーを行きつ戻りつしている。
そこに常連のおばあさんがいつもの様に来て、気に入った物をポンポンと決めていた。
奥さんがそれを見ていて、羨ましそうな感じで俺と常連さんのやり取りを聞いていた。

常連さん「又来ちゃったけど、アレッ、いつ入ったのよ、この間は無かったけど」と聞いてくる。
「この樺細工の花台は昨日買取したの、足の形がイイですよね」と軽く俺は答えた。
「この店に置いておくよりウチに置いた方がずっと立派に見えるわよ」と自慢する。

「そりゃそうですね、立派な物がたくさんあるからより引き立つしね」と配達に行った常連さんの家を思いだしながら俺は言った。
「イイものはイイ所で映えるよ、だから、ウチに来た人にはリサイクルで買ったっては言わないことにしているの」と種明かしをする。
「うん、そうですね」と漫才の様な会話であった。

それを聞いたいた奥さんが思わず声をあげた。
「羨ましいです、そんなにたくさんお持ちなんですか?」。
常連さんは「えぇ・・まぁ・・この通りだから、気に入ると直ぐに買っちゃう性質だから・・・」と控えめに答えた。

するとご夫婦は目を輝かせていたが、自分たちも買う気持ちが強くなったよで一層探し方に力が入ったのだ。
そして、奥さんが片口型のとっくりとお猪口セットの手にとって何度も眺めていた。
「とくり、とくりと酒を注ぐ時に音がするんで「とっくり」と呼んだらしいですね」と俺が解説した。

「そうですよね、テレビで見ました」と嬉しそうに奥さんが答える。
「先日の「美の壺」、俺も毎回見るようにしてます、谷啓から草刈正雄にチェンジしたんですね」と受けた。
「わたしたちも楽しく見てるの、最近古いもに興味が出てきて・・・でも、お金が・・・」としょんぼりした。

「金じゃないですよ、趣味だから楽しべイイんじゃないですか、金かけなくても楽しめますよ」。
旦那さんが割って入って来た「そうだよ、小遣いで買えばイイの、無理しないこと」。
「お二人で共通の趣味なんてなかなかいませんよ、羨ましい限りですよ」俺は心からそう思って言ったの。

俺は骨董品に興味はなかったが、リサイクルショップの延長で手を伸ばした程度だった。
しかし、1年経ち、2年経ち、早7~8年が過ぎてきて、それなりに骨董が好きになってきている。
骨董の良さは何とも表現し難いが、古い味とか古(いにしえ)的な雰囲気が心を和ませてくれるようだ。

仕入れた骨董品がパッと売れたりする時に、惜しいとか勿体ない気持が湧く場合がある。
俺が惚れて仕入れたが、あまりにも早く売れると、本当に手放す寂しさが沸々と出る。
しかし、俺は商売人であるから、この商売を営んでいる限り、自分の鉄則は曲げようとは考えていない。