2009/09/21
その日は天気が良くて店内は少し蒸している状態だったかな、エアコンが無いからしょうがないが。
買取して欲しい物がありますが・・と遠慮気味に言いだしてきたのは若い女性であった。
「洋服タンスに学習机、ダイニングセット、三段のチェストなどですが・・・」と続いた。
俺もこの商売に慣れてきているので、物を聞けば直ぐに反応できる。
「洋服タンスや学習机は難しいかも知れませんよ、他の物は状態次第ですがね」と答えた。
デジカメを取り出して「これ、なんですけど・・・」と数枚の写真を見せてきた。
写真ではダークブランで状態は良好に見えるから俺は興味が湧いた。
「傷はどうですか?」と次の質問をした。
「買ってから1年くらいの物ですし、ほとんど無いですね。でも、机は学生の時だから7~8年前です」。
「それに・・・ダイニングセットのそれくらいで、座面を貼り替え修理してますが・・・」と申し訳なさそうに言った。
更に、「見積もりに来てもらえないですか?近くですから・・・」。
「イイですよ、明日でも伺いますか?」と俺は答えて、そして、翌朝に行った。
新築が7~8軒建ち並ぶ一角にあるは筈なのだが、地番表示がないので探し難かった。
母親と彼女は白色外壁の真新しい家から出てきて、絹恐怖所の俺のために母親は犬を外に連れ出してくれた。
陽光燦々と降り注ぐ感じの白い家の中は俺にはとっても眩し過ぎた。
俺は検品しながら疑問を口にする「引っ越しですか?新しい家なのに?」。
「・・えぇ・・1年前に入ったんですが・・・離婚するんです・・・それで・・・」キリリとした目つきで彼女が答えた。
「!?エッ、離婚ですか?・・・」俺が絶句した。
「わたしの物を処分するんです、実家に戻るけど置く場所も無いので・・・」。
「旦那さんは?」。
「今は何処かに住んでるみたい、10月にわたしが引っ越すんで・・・それからはどうするのか?」。
一見はとても幸せそうに感じる筈だ、新築の家で結婚生活を送っているようだから。
でも、原因や理由は知る由もないけれど現実はシリアスなのだ。
しかし離婚の決心をして区切りをつけた後の彼女はしっかりして見えた。
「大変だったでしょうけど、これからの人生の方が長いから頑張ってください」。
俺の常套句であるが、突っ張りにならないような言葉を言った。
彼女はその言葉に深う頷くのだった。