2009/10/03
お客さんも色んな方がいるけど、暇があり過ぎて困っている人も見かける。
定年退職して早10年、持ち家はあるし、年金も厚生と企業年金が加算されている。
そして、一人暮らしだから生活には何不自由していない。
ところが70歳という年齢は容赦なく現実を突きつけている。
身体があちこちと怪我に持病にと奪われるし、体調が思うに任せない。
早朝のジョギングに市民プールにとせっせと通うが、若い頃の様な訳にはいかない。
暇を持て余して近場の温泉通いや気に入ったコーヒーショップにレストランから食堂まで・・・
ご近所の知り合いと色々と交流して、紅葉に花見に芸事にと時間を費やすが、それでも持て余す。
懐かしさは人も物にも感じるから、そんな時に俺の店に出会ったかな?
骨董とは呼べないかも知れないが、自分の子供時分を思い出す品々を発見して涙して感激する。
月に1~2回の割合で来てくれるが、様々な商品に興味を持つ。
良品の陶磁器から漆品、絵画に重厚な飾棚、木彫りなど・・・
知り合った頃にお客さんが語っていた時には、実は俺としては羨ましくてしょうがなかった。
お金と時間があって、そして、自分の完全に自由に使えるんだもの・・・羨ましいに決まっている。
零細小売業のしがないリサイクルショップの親父の俺は、金も時間も無くて、毎日アクセクとして働いている。
知り合ってから時間が経ってきて、お客さんの現状を知れば知るほど疑問も出てきた。
目的があって無いが如しの毎日の生活は、傍見るほどには楽しくないらしいのだ。
昔のサラリーマン時代をしょっちゅう口にするようになり、往時を思い出しては涙ぐむのだった。
年老いて一人暮らしの夜は辛いらしい。
無性に寂しくて悲しくて、孤独が身に染みると言ってた。
高齢化社会の現在では孤独死が増えていて、お客さんと重なったりするから、俺は兎に角励まそうとするようにしている。
「・・別に買う必要はないし、お茶飲みだけでイイから来てください」と俺はいつも声をかけるんだ。
他人に同情するほどの情け深さは持ってはいないが、せめてお客さんには元気で暮らして欲しい。
俺の親父は病気で倒れるまで店を手伝ってくれたけど、活き活きと働いていた。
毎日が日曜日も悪くないが、何かやりがいのあることを見つけられればイイよね。
俺はコツコツと骨董の知識を増やそうと努めてますが・・・