2009/10/17
2週間前に見積してたんだが、音沙汰がなかったので忘れてしまっていた。
店に来て、ケータイの写真を見せて、そして、彼女の家に出向いて見積もったのだ。
何社にもメールして見積を取り寄せていたから、結果は半々かと感じていた。
返事が無いから諦めていた・・・が、突然、電話で買取を受けた。
電話から流れる声は分からないが、妙に親しげで旧来の仲でもあるかのようだった。
「おじさん!憶えてる?家具の見積してもらったでしょ?」と明るい声だ。
あやふやと話していると忘却の彼方からxx記憶が少し目覚めた。
それでも不安があったから、「家具だよね、4点だよね、金額はXX千円だったよね」と確認した。
「そうですよ、でもね、一つ減ったわ、おばさんが欲しいって言うからあげることにしたの」。
「実はあれが一番良かったのよ、一番高く査定してたんだ」と俺は少しがっかりした。
「うん、イイの、値段はおじさんに任せるわ」と日程を決めた。
住所を控えたメモはゴミ箱に捨てていたが、再度電話番号だけを聞いた。
一応場所は記憶にあるので行けそうな気がしていたから。
当日、その家の場所付近に着くと、新築が6~7棟並んでいるが、どこだったか分からなくなってしまった。
電話をするとトラックの止まった家がやはり彼女の家だった。
一安心して、搬出を始めると、彼女は手際よくサポートしてくる。
二階の奥の部屋にある机がどうしてもドアーの取っ手に邪魔されて出せない。
「おじさん、ドアーを外すから・・」と言って、ドライバーでドアー止め平金具のネジを回すのだ。
俺は若い彼女が大工仕事をいとも簡単にやるので驚いたのだ。
「上手い、上手い、どうして?」、すると、「父が大工さんで学生時代に手伝っての、それで合コンに行けなくて」と嘆いた。
俺は新築の家には手をかけずに搬出することにしている。
だから場合によっては、物を諦めてしまう。
えっちらほっちらと机を廊下から階段を壁のクロスにキズを付けないように細心の注意を払って運ぶ。
庭に出した家具をトラックに積み込んでから、支払いのために彼女のもとに戻った。
「おじさん!わたし、元気になったでしょ?」と思わぬことを言った。
「そう言えば、前よりぐんと元気になったよね、良かった。これからも頑張ってね」。
実は見積の時に会った彼女は一身上の都合で大変元気が無かったのだ。
それで俺は言ったのだ、「出直す方がイイ場合があるし、あなただったら大丈夫だよ」。
彼女はしみじみとして、「あの一言が嬉しかったし、だから、おじさんに買ってもらおうと思ったの・・・」。
俺は特段彼女がどうしたとか思わなかったが、落ち込みが大きくて少し可哀そうだっただけ。
早く生活を切り変えた方が絶対にイイし、分かりきっている。