2009/10/18
１時間以上も店内を物色していた中年の女性が問いかけてきた。
「欲しい物があるんですが、今日は自転車なので持って行けないの・・・」。
俺は即答した、「取り置きはできますが・・・２～３日中でしたら」。
今日は自転車で来たが、後日には車で来るからという意味に解釈したんだ。
「近いんで、ダイシャでもないかしら？」と質問が変わってきた。
俺は台車に乗せて帰るのか、そう思った。
「手押し台車はありますよ、貸し出しは構いませんが、直ぐに持って行き来ますか？」。
「ええ、早い方がいいんです、ダイシャはどれですか、助かります」と彼女は嬉々とした。
俺は彼女を倉庫に案内して、台車を示したら・・・
「エッ、これですか！？そうじゃなくて、ホームセンターだと無料で軽トラを貸してくれるでしょ？」。
俺は台車と言っていたのだが、彼女は代車を求めていたのだ。
更に、「代車は無いの？どこでもあるんじゃないですか？」と怒り出したのだ。
「ここには２トン車しかありません、だから、危険もあるので貸し出しはしてないんですが・・・」。
軽トラを貸し出すサービスは最近増えている。
大きなホームセンターは配達の手間を貸し出しで補っているから、やり方としては賢いし、お客さんは便利だろう。
しかし、零細なリサイクルショップの俺は、例え軽トラであっても経費を考えるとできない。
代案として、配達を少額でやることにしている。
ところが、お客さんの中には配達代が１銭でもかかるのが嫌だという人がかなりいる。
ある時、常連さんがホームセンターの貸し軽トラで家具を買いに来たことがあった。
畑の肥料を買って、軽トラを借りたついでに、俺の店で家具を積み込んだのだが、大変有効な方法だと感心したんだ。
人は様々なことを考えるものである。
不況の時代が続いている。
リサイクルショップは不況に遭遇している人にはもってこいの店かも知れない。
しかし、ここのところは競争が激化していて、俺ら店側も不況が影響甚だしくなっている。
俺は彼女に言った。
「配達は有料でやってますが、どうしますか？」。
「冗談じゃない、配達代を足すととっても高くなるでしょ！！」。
勿論中古品だが１千円の配達代を足しても、それは十二分に安価なのになあ、と心でつぶやいた。