リサイクル親父の日記

第774話 それはないよ、売ってしまうよ・・仙台リサイクルショップ親父がさ

2009/10/20

買いに来るお客さんを信じたいとは思っているが・・・
それが数年も前からのお客さんで、年に数回しか来ないがちゃんと買っているからね。
そして取り置きの予約をしてからも数日か1週間以内には必ず取りに来ていたからね。

リサイクルショップを始めた頃は、俺も右も左も分からなかった。
お客さんが気軽に「次まで取っておいてくれ」と言うと、取り置きにしておいたものだ。
大多数の人は自分の言葉に責任を持つし、そんな約束をちゃんと履行してくれる。

数の内には自らの約束を守らない人もいるという事実がある。
そして、更にそんなことを言った覚えが無いとか言いだす人もいるから、俺はガッカリしてしまったことがある。
その経験から、単なる言葉での予約には応じない方針をしている。

支払いを受けての取り置きは、車の手配の都合上しょうがないし、後日取りに来るのが明白だから問題はない。
ところが支払いを済ませていても、いっこうに取りに来ない人がいるのだった。
もう半年ですよ、何か事故や怪我、病気にでもなったのかも知れない。

話を戻すと、信用しているお客さんから取り置きだし、品物も高額だったから応じたのだった。
それから3カ月経った頃に店に来た。
そして、部下に指示をしておいたが未だ来てないのかと、ご本人が、お客さんが呆れても俺にはどうしようにもないのだった。

その場で彼はケータイで部下に連絡をしていた。
そして、「今、電話で言っておいたので、近々買いに来ますから、もうちょっと待ってて下さい」と言った。
俺には何とも悠長な会社だなと思えたが、あからさまに批判もできないから不承不承承諾をした。

数日間はそろそろ買いに来るかと気に掛けていたのだが、1週間、2週間、1カ月過ぎても現れないのだった。
このような状態で待つのは、蛇の生殺しの様でとてもヤキモキとなってしまい精神衛生上悪い。
ジレンマは頂点に達していた。

前々から来ていた塗装屋さんが電話をかけてきた。
「店の隅にあった2連タンク付きのコンプレッサーはまだあるかい?買いたいけど、急ぐんだ」。
「・・え・ぇ~、ありますけど・・・予約が入っててさ~・・」と俺は元気なく答えた。

「随分前からあるんじゃないの?取りに来ない方が悪いよ、俺が直ぐ使いたいから、売ってよ!」。
俺は自分の気持ちに踏ん切りをつけようと決心した。
「わ、分かりました、売ります」。