リサイクル親父の日記

第781話 ボランティア・・・つい、値引きなんか・・仙台リサイクルショップ親父が・

2009/10/28

市民ボランティアグループの人たちが数年前から来ている。
月に2~3回の時もあるが、数か月来ない時もあるので、ランダムである。
毎回「領収書」を書くが、その宛名が変わっていたので記憶に残っていた。

ある日、地元の河北新報の記事を読んでいたら、そのグループがボランティアでホームレスの救済活動をしていると知った。
炊き出しで食事の提供をしたり、部屋も探して家財道具を買い揃えてやったりしていると知った。
俺が売った物がそのグループを通じてホームレスの生活に役立っているのだ。

その後にグループが来た時に俺は新聞記事のことを話した。
二人で来ていたグループの人達は、無口で頷いて、自分たちの活動については一切の説明もしない。
黙々と役目を果たしているという寡黙な使命感を負っている風でもあり、俺にはその潔さに好感が持てた。

俺の店で買う物は冷蔵庫、洗濯機、ガステーブル、コタツ、炊飯ジャーの5品目だけである。
それ以外の品物を買ったことはない、それは最低限の生活用品でしかない。
最大条件は値段が安くないといけないのだ、だから激安品を選んでいるのだった。

今日も二人で来て忙しく店内を見て回っていた。
そして洗濯機と炊飯ジャーを即決した。
それを車に積もうと運ぶ時に俺は聞いた「冷蔵庫は要らないのですか?」。

実は、かれらも一人に掛けれる予算があるらしいのだ。
年式の古い物を選ぶしかないのだが、冷蔵庫を買うと合計予算が少しオーバーするらしく諦めたのだ。
「・・・」無言で顔を横に振って買えないと意思表示をした。

俺は毎回値引きも要求せずに買っているという事実を思い出した。
それにボランティアという尊いことを行っているという事実も・・・
だから、「もし、よかったら少し値引きさせてもらってもいいですよ?」と丁重に申し入れをした。

「あっ・・そうですか・・予算に収まるね・・・もらいます」と快諾してくれた。
本来的には年式が古いから激安にしている、だから、値引きをせずに十分に売れる物なのだ。
しかし、俺にはチョッと良心の呵責の様な気持もあったし免罪符的な要因もあった。

常々、募金やボランティアということに無縁で生きているし・・・
俺個人で救える人なんていないし、どうしようもない無常感もある。
しかし、人々が一生懸命に世の中に役立とうと思ってする行為には頭が下がるのだ。

ホームレスのために値引きをしたのではない。
ボランティアグループの人たち探索が早く終わればと思って・・・
そんな風に俺は自分に言い聞かせた。