リサイクル親父の日記

第792話 あるのは信仰だけ!?仙台リサイクルショップ親父としては~ちょっとね~

2009/11/09

仙台市の八木山と向山という場所は、その名の通り山だから急勾配である。
おまけに道路がクネクネと曲がりが多くて狭いから、俺はトラックでは行きたくない場所でもある。
其処はカーナビが正常のルートを示さないから呆れてしまった。

急勾配の中腹にアパート群があって、そこに行くには一つの道路しか行けないのだ。
ところがナビが示すルートは中腹の下方への道だから、其処へは崖を登らないとならないのだった。
実際には行くことのできないルート示したからね、こんなこともあるんだと発見したのだ。

何とか辿り着いたアパートの2階の部屋、ここでも俺は驚いてしまった。
若い女性の一人暮らしであったが、部屋の中には何にも無いって雰囲気なのだ。
狭い1Kだが物が無いから、いや、物が極端に少ないから狭く感じないのだ。

質素では済まないのだった。
テレビが無い、家具が一つもないという状態だ。
どうやら押入れに片付けられているようだが、小振りの折りテーブルが1台、ポツンと部屋も真ん中にあるだけ。

壁にもカレンダーすら無いのである・・・
玄関にあった冷蔵庫と電子レンジは今、俺が買取に来ているのだ。
その後は洗濯機しか残らないのだよ。

「別に不自由も不便もありませんから・・売るんです」と彼女は言った。
「ホントに売ってもイイの?困りませんか?」と数回俺は本意を確かめたのだ。
「わたし、忙しくて、それにもっとやることが沢山あるんで・・・」。

部屋の隅の本立に数冊並んでいたモノが気になってしまい、「随分難しい本を読むんですね」と俺が言った。
彼女の心のスイッチが切り替わったのかも知れないが、突然猛スピードで喋り出した。
「この教えを受けると人間はとても幸せになれますよ。今の若い人たちはおかしいでしょ?間違ってるでしょ?

わたしは迷ってました。でも、この教えに出会ってから幸せになれましたよ。教団に行くのが楽しくて・・・
おじさん、人は皆悩みが必ずあると思うの、わたし、前向きに楽しく暮らせるようになってます。・・・
おじさんもよかったら教団に来てみてはどうすか?きっと、必ず悩みが解決できますよ」。

彼女はアパートから自転車で1時間かけて早朝に出勤している。
早朝から昼まで仕事をする、その後に教団に行って修業とかするらしい。
夜帰宅して9時には就寝する。

冷蔵庫もレンジもテレビも無い部屋で独り信仰心を頼りに生きる。
俺は冷えたビールを飲みたい、熱くしたコンビニ弁当も食いたい、スポーツ番組やドラマ・ニュースも見たい。 
煩悩だらけの俺にはとても教団になど行けやしない。