リサイクル親父の日記

第798話 雨に謳えばってか?仙台リサイクルショップ親父もへそ曲りだよ

2009/11/15

11月でしょ? ひと雨毎に寒さが強まったりして、冬が間近いと実感するようになった。
今日は天気予報通りバッチリ早朝から強い雨が一日中続いていて、お客さんは疎らで寂しい限りだ。
暇のついでに年末の決算について検討したり、資金繰りに思いを巡らせていた。

決算準備は毎年のことだが苦手だし、資金繰りも年末は支払いが嵩むから気が気でないのだ。
それに以前から分かっていたのだが雨漏りが酷くなってきていると天井を見上げたりもしていた。
そんな時に若い男二人が飛び込んできた。

少し野暮ったそうな感じの二人、一人が「トイレ貸して・・・」と慌てて言ってきた。
又、買わない連中かよ、なんて思ってトイレを案内したんだ。
二人はグル~と店内を一周してたんだけど・・・・

一人親分格の男がツカツカとレジカウンターに歩み寄って、「たくさん買うから値引きできる?」と聞いてきた。
俺は腹の中で舐められてなるものかと思って、「物によるけど、買いたい物は何ですか?」と返した。
「レンジにストーブかな?」、「そりゃ無理ですわ、どちらも売れ筋だしね」。

「そう?分かった、それじゃ値札で買うわ、レンジは全部、ファンヒーターも全部・・・・」と言うのだった。
「え~とコンポも全部もらうわ、それと~アンプもかな・・・・」と言いだしたから俺は驚いたのだ。
グルッと売り場を歩きながら、「冷蔵庫はこれ1台・・・こんなとこかな・・・」とフィニッシュした。

「ひょっとして同業者かい?」と聞いたら、即否定された。
それもそうだね、同業者であれば値引きしないと利益が出にくいしと俺も考え直した。
買い方が最初の印象とは違ってスカッと気持ちがイイのだった。

「これはどうだい?」と少し特殊なマニアックなメーカーの冷蔵ショーケースを勧めた。
二人はそれも眺めて、「可愛いよな」「面白いな」と乗ってきたのだった。
「これは値引きをいっぱいしてあげるよ」と言うと、「買うよ」と即決した。

レジで清算しようとした時、レジカウンター後方に掛けてあった鹿の頭の剥製をしげしげと見つめた。
「アレっ、イイすっね、値引きしてもらえます?」と言葉使いがまともになってきた。
逆に俺は横柄に「ああ、イイよ、幾らにする?」と答えたりした。

「剥製はもうありませんか?」と聞くのだった。
「今は無いけど・・・もっと欲しいのかい?どんな種類?」。
「倉庫に溜めてるんすよ、好きなんで」と驚く返事だ。

「分かった、それじゃ仕入れておくから、たまには店に来てよ」。
「お願いします、値段はあまり気にしないっすから」。
それから俺らは雨の中で彼らの箱トラックに積み込みをしたんだ。

玄関前にトラックを付けたけど雨は強いのだ。
俺は電化製品だから雨に当てないように気を使うのだが、二人は無頓着に積み込む。
それに段ボールも毛布も持っていないから、俺は急いで倉庫から段ボールを持ってきたりした。

やはり、その作業の仕方はプロではないのだが、それが物を壊したり傷つけないかと心配を大きくさせた。
俺はそんな作業中に昔見た映画の主題歌「雨に謳えば」を思い起こした。
本当に又来て欲しいけど、果たしてどうなるか? 

・・・
・・
明日、店の棚はガラガラだよ~ん。