リサイクル親父の日記

第807話 それはウチじゃないでしょ?仙台リサイクル親父はできませんよ

2009/11/24

2ヶ月前に最初に売りに来た。
ごく一般的なおばさんで、引越しをするんで荷物整理をしていたら不用品が出たんで売りたいと言っていた。
バック数点に日用雑貨品が手提げ紙袋一つ程だったが、商品にはなるので買取をしたんだ。

1週間後に再度、やはり似たような物を持ち込んできたから買い取った。
「まだ片付けが終わらないので、もう1回は来ますから、よろしくお願いします」と言って帰った。
3回目には、「もうこれでお終いです、どうも有難うございました」と礼儀正しく言ったのだ。

引越しが真近いからチョコチョコと整理しているし、きちんとした人だな、何て思った。
だから、「もし、引っ越しで家具や家電品があれば、状態が良ければ買取できますよ」と誘いをしたんだ。
最初に身の回りを片付けるが、大物は直前に不要となったりする場合があるからね、それに彼女の物だったら安心できると思えた。

その日、俺は出張買取に出かけて店を留守にしていた。
戻ると、彼女が来て引取のことで相談があると伝えていたそうで、俺が外出から帰る頃に再度来ると言っていたそうだ。
予想通り家具などの買取の件だなと直ぐに分かったのだ。

店に戻ってその報告を聞いてほどなく彼女は店に来た。
いつもの様にレジカウンターに1~2人が居て俺と談笑していた。
その後方にスーッと近付いて俺を見て微笑んで佇んでいた、話し込みから目をそらして彼女を見て、一寸して俺は彼女だと確認できた。

用件は分かっていたから彼女に話すように促すが、モジモジしているようだった。
俺の直前に来てもらいコソコソ話になったが、聞き取り難いので俺は耳を彼女の方へ向けたんだ。
じっくり聞くと、どうやら俺の予想に大きく反しているのだ。

「壊れている冷蔵庫1台、20年以上使った3枚扉のワードローブで金具が壊れている、和ダンスも20年以上使った物・・・」。
途中で話を遮って、俺は言う、「その辺は買取はできないし・・・」。
「イエ、お金は要らないから引き取ってもらえれば・・・引越しないとならないし・・持って行けないので・・・」。

「リサイクルショップだから商品になる物は買えるけど、売れない物は無理ですね」。
「何処に聞いてもダメだし、逆に処分費用がかかるって言われるし、困ってしまって・・・それでお願いできないかと思って・・・」。
以前会ったときよりも尚さら静かで、且つ悲しげに話すのだが、俺にもどうしようもない。

「主人が無くなって3年経つんです・・・部屋代が払えなくて・・それで出るんですが・・・」。
でも、そのことと店の買取ができるかは全く違う話しだし、相談されても困惑するばかりだ。
ここ数日、 金に絡む話が多いのはどうしてだろうか?

俺には金の無心をし易いのか、なんて考えてしまう。
ちょっと知ってる、でも、商売といっても数千円の取引しかしていないのだし、知っているとは言い難いのだ。
そんな俺に金の無心をする心境が理解できない。

何処にも誰にも相手にされなくて、破れかぶれ的にダメもとで頼むのだろうか?
「なんとか・・助けてもらえないで・・・」と声は萎む。
「お金のことは、ウチじゃないでしょう・・・」と断るしかなかった。
人は見かけによらないと実感するが、年末だし、こんな話が増えているのかな?