リサイクル親父の日記

第818話 長くない?・・仙台リサイクル親父は心配・・・

2009/12/06

このリサイクルショップを始めてからの知り合いで、商売もチョコチョコしてる仲だ。
とても真面目だし正直だしと付き合う相手としては申し分ない人だ。
ある日、彼がボソッと呟いた。

「去年・・引っ越したんですよ・・・」と1年前に引っ越したことを今日告げた。
控えめで無口な部類だし、彼はそんな話の伝え方をするのが彼らしいなあ、なんて感じた。
俺は一般的な引っ越しだと思ったが、「家を買ったんですか?」と聞いた。

「実はそうなんですよ・・・」と頷いたから、「良かったですね」と俺は感想を言った。
「・・でも、本当にイイかどうか分からないんです」と少し深刻気味に言う。
「どうしてですか?」と理由を知りたくて質問した。

「う~ん、色々修理しないといけないが、金が無くて・・・」
「中古ですか?」
「中古しか買えませんよ、それも30年だから、あちこち不具合があるんです」

どうやら借家から中古住宅を買って移ったが、家は相応に修繕費がかかりそうで少し滅入っていたのだ。
「でも、この不景気の時に買うんだから大したものですね」と褒めた。
「銀行が貸してくれたんで、最初は難しかったんですが・・やっとなんとか貸してくれたんです」

「35年の住宅ローンですよ、80歳まで払わないといけない・・・でも、それまで働けるかどうか?」
「エッ!そんな長いの?」
「それじゃないと月々払えませんから・・・」

俺は銀行から融資を受けようと何度も交渉したことがあるが、簡単には貸してくれないことがあった。
断られること逆恨みしたくなることもしばしばあるが、後で考えると結果は断られた方が良かった思うことがある。
特に俺は曖昧な融資や適当な事業計画が多いから、進めてしまえば結果は悪かった可能性が高いし。

しかし、築30年で35年ローンで完済時期が80歳となれば、流石の俺でも驚くしかない。
もう一つ感じたのは、彼は35年間その家に縛られるかも知れないという現実。
自己資金があまり無くて100%に近い借入だから、それに子供はこれから大きくなるし。

家が老朽化するばかりで修理費がかかる一方ではないか・・・
どうするんだろう?
人ごとではなくなってしまった、頑張れ、頑張ってくれ、と彼を前に心で思った。