2009/12/13
リサイクルショップだから大抵の物は取り扱うし、買取もするように心がけている。
仙台のリサイクルショップ業界も競争が激化しているから、あまり好き嫌いで選り好みできる状況ではない。
俺が欲しいと思う物だけで商品構成ができた時代はとうの昔に終わっている。
ある日のある時、買取で持ち込まれた金券がある。
調べるとホテルの宿泊券で使用期間の定めがないから買い取ろうと思った。
買取率が不明だが俺の感覚で査定して提示したら、数日思案した後に再度依頼に来た。
内心では、買わない方がイイかとか、持ち帰ったのでホッとしたりした。
でも、再度来たから渋々的に買取をしてしまった。
俺のアイデアは、使いそうな人が来店したら相対で販売してみようと思っていた。
該当者が来た時に、早速打診したら、見事に即決で断られた。
一人、二人と日数経過とともに該当者に当たったが皆断ってきた。
どうやら俺の最初のイメージ通りだと思ったが、自分の考えの正しさを喜んでも失敗した買取の悔みは消えない。
どうしようもないと思い始めていた頃に、定期的に金券を買取に回ってくるおじさんはやって来た。
切手や商品券などを買取するのだが、実取引はテレホンカードしかない。
店で売ることができるものは店で売った方がいいし、テレホンカードは店で売れないから彼に売っているという理屈。
「今日もないですが・・・そう言えば、ホテルの券がありますよ」と俺は言った。
「どれ・・見せてみて・・・これはダメだね・・」とにべもない。
「どうしたらいいんですか?」と試しに聞いた。
「俺も実は4万円もっている、そのホテルは東京だから、そのうちに東京に泊まりに旅行するつもりだよ」
「エッ!?わざわざ旅費かけてそのホテルに行くの?」
「それしかない!何か用事をつくってさ」と断定した。
そうか、それしかないのか・・・俺は商売の失敗を認めるけど・・・
東京まで泊るために、ホテル券を使うために行くと思うと気が重くなる。
何か?・・何か、恰好がつく理由は無いかな、理由も作ろうかな・・などと不遜な考えが出た。