リサイクル親父の日記

第827話 かあちゃんのためなら・・・仙台リサイクル親父も感心

2009/12/15

お爺さんがレジに歩み寄ってきて言った。
「裏の倉庫に置いてあるベットは使えるか?大丈夫か?値段は?」と一気に聞いてくる。
「あれは折りたたみベッドです、未だ掃除してないから置いてたけど、売りますよ、安くします」

買取品を倉庫に入れっ放しにはしたくはないが、掃除に手が回らずに置いておくことはシバシバある。
その状態で売る場合には手間代がからないからグッと安い値段を提示するんだ。
すると100%くらいの確率で買ってくれる。

折角買いたいと思ったお客さんにはできるだけ買って欲しいから、出血サービス的に値段を出すことにしている。
お爺さんは、「かあちゃんが退院すっからさ、布団じゃ寝起きが酷いから・・ベッドにすっぺと思って」
奥さんが退院するがベットが楽だと言われて安い物を探していたのだ。

「どれ、広げてくれ、試してみるから」とベットの展開を要望し、そして、自分が寝て試すのだった。
「お~、塩梅イイな、今夜俺が寝てみて良ければ、もう1台買うかなあ~」と続けた。
「かあちゃんは一人でしょ?2台も要らないんじゃないの?」と俺が聞くと、

「かあちゃんの高さにしないと、寝てても様子が分からないべ、だから、俺も使うんだ」
俺は成程とお爺さんの気遣いに思わず感心した。
お爺さんのワゴン車に積み込んでから、「明日退院すんだ」と嬉しそうに帰ったんだ。

翌日夕方にブレザーをビシッと着込んだお年寄りがレジにつかずいて来た。
俺の顔をジッと見つめて話すのだ、「あれ、もらうよ」と元気よく言った。
俺は一瞬そのお年寄りが誰だから思い浮かばなかったが、「?ん?」と考えて、直ぐに昨日のお爺さんだと思いだす。

「あ、そう・・ベットは具合良かったんですね、直ぐ出しますよ」
折りたたみベットは2台在庫していた、実はこっちの方が大変良好な状態で値段も高い。
でも、お爺さんの気持ちを思えば同じ金額でも構わない。

「無事に退院できて良かったですね」
「やっぱりな、病院暮らしは嫌だと言ってたし、俺もかあちゃんと一緒が良いんだ」
「奥さんはイイ旦那さんで幸せだよね~」と感想を言った。

「昔、若い頃は苦労ばかりさせたしな、少しは罪滅ぼしも・・・」
「お爺さんは昨日と今日とじゃ見間違えるくらいダンディーだし、ブレザーも決まってるし」
「俺も昔はオシャレしてたから、今日は退院で先生や看護師にも挨拶しないと・・だから・・」

お爺さんは軽々と折りたたみベットを車に積み込む。
かあちゃんのためなら、エンヤコーラ・・・もう一つおまけに、エンヤコーラ・・・