リサイクル親父の日記

第837話 お金はもらう訳にはいかない!って、ちゃんと売りますから

2009/12/25

以前だったら買取できた物でも、ニーズの変化で売れなくなる物があったりします。
薄型液晶テレビが主流になったためにコーナー置き三角型テレビ台が全く売れなくなってしまった。
だから同種の買取依頼があっても受けれなかったりする。

同じ傾向の延長だが、最近はサイドボードやローボードの買取依頼が多くなってきていると思う。
理由は液晶テレビに買い変えたので、置く場所確保のために邪魔になったという。
液晶テレビにする場合は大抵は大型にグレードアップするから、その置くスペース確保ために各ボードが邪魔になるのだ。

しかし、サイドボードやローボードは多少広い部屋であれば置くペースは如何様にも工夫できる。
だから、売り物、商品としてはニーズは衰えてはいないと感じる。
良好な状態であればある程度イイ値段で売れるし、重厚なデザインとかシンプルでスッキリした物であれば大歓迎だ。

電話があった。
「サイドボードを引き取って欲しいのですが、どうですか?」控えめに女性が聞いてきた。
「キズはどうですか?何年くらい使いましたか?」と、いつもの質問をする。

「えぇ~、キズはあります、だから、引き取ってもらえれば助かります・・見に来てて欲しいんです」
こんな具合に低調で下手に話をしてもらうと、俺の方も自然に、つられて優しく応対できる。
「それでは伺って、現物を見て判断します、それでよろしいですか?」

翌日、マンション前の道路にトラックを止めて部屋に行った。
小学低学年の男の子二人はパジャマ姿で一人は2段ベットの中だ。
スーッと廊下を進み居間に出ると、サイドボードは中が片付けを終えられていた。

ポツンと電話の子機が乗っているだけだから、俺は近付いてガラス戸と引出をチェックする。
何処も何も問題はなくて、彼女が言っていたキズは何処にあるかと探したのだ。
しかし、俺が思うほどのキズは皆無、2~3歩後ろに下がって全体を眺めたが、やはり欠点はない。

そんな俺の仕草を彼女は心配そうに、多分心配そうに見ていたのだろうか。
「あの~・・・無理ですか?・・お金払いますので・・引き取りして欲しいんですが・・」
内心俺は戸惑いを覚えた。

「子供の机を置くのに邪魔になってきて・・・だから、どうしても処分したいんです・・」
事情は理解できたが、こんなに立派で良品である。
「それには及びません、これは状態もとてもイイし、十分商品価値がありますから・・・」

そして、「こっちにもカラーボックスが2~3個あります、これはどうでしょうか?」
それも大変良品である、申し分ないのだ。
「だって・・・前にある業者頼んだら、皆処分料がかかるって言われて、数万円払ったんです・・・」

俺は数年前から詐欺的な業者が横行しているのを思い出した。
一時期市役所に苦情が殺到して、市の広報やラジオで注意喚起をしていた。
1年くらい前には相当減ったようで、最近はそんな話も耳にしなくなっていたんだが・・・

処分品を軽トラに積んでから法外な費用請求をする。
お年寄りや女性は回収業者に対して恐さもあり、言うがままに大金を払ってしまうことがあるらしい。
彼女は正直で素直なのだろうか、それを当たり前のこととして受け入れていたのかも知れない。

「奥さん、今後は気を付けてください、ウチは詐欺師ではないから・・・このサイドボードではお金をもらう訳にはいかない」
更に、その対処法を彼女に教えたんだ。
真面目にまともに生きたいものだと感じた、同時に、とっても清々しい買取でもあった。