リサイクル親父の日記

第850話 一家総出でお婆ちゃんの着物を・・・

2010/01/13

着物の買取をしますかと電話があって、翌日出向いたのだ。
仙台からは車で小1時間ほどの隣町の新興住宅地である。
幹線道路から小高い丘に進んで少し入ると閑静な家並だ。

整然とした区画だから家は直ぐに分かった。
表札は出して無くて古い地図では名前が違って知るかも知れないと言っていたので中古で買ったのだろう。
駐車場にはワゴン車と軽自動車2台が止まっている。

家に入ってから奥の部屋に、お婆さんの部屋に案内されると、仏壇があってお婆さんの遺影が立ててあった。
奥さんとご主人が和室にタンスから抜いた引き出しや桐の着物箱をビッシリと敷き詰めていた。
これから俺がやる買取の準備をしてくれていたのだ。

そして、奥さんがその箱から1枚1枚取り出して俺に渡してくる。
無下に断ることはせずに俺は丁寧に検品を始めた。
着物は重なっていて取り出しても取り出してもドンドン出てくる。

着物だけの箱、帯だけの箱と分かれているが、如何せん枚数が膨大なのだ。
踊りの先生をしていたお婆さんである。
おびただしい枚数である。

取り出す奥さんも、検品する俺も、始末するご主人もヘトヘトで顎が上がってしまう。
そこに室内犬2匹がウロチョロする始末である。
やがて階段を下りて娘さんがやって来た、続いて、もう一人、妹さんもやって来た。

結局、俺の他に親子4人と犬2匹の全員でベルトコンベヤー式に次から次へと着物を取り出して選別したんだ。
ご家族はそれぞれが思い出を話したり、懐かしがったりしている。
「これ、あの踊りの時に着てたわ」、「これは私のよ、やだー」、「こんな物も買ってたんだあ~」、などなど・・

背が小さめのお婆ちゃんだったから、奥さんにも娘さんたちにも合わないし。
それにウールや化繊物も相当数あり、買取できない物が大部分である。
かろうじて帯は買取できたが、シミがあったり変色した物も見受けられた。

昨年秋にお亡くなりしたお婆ちゃんだが、これでやっとお片付けができたようだった。