2010/02/05
仙台市泉区の住吉台という団地は、仙台市の北西部の奥地である。
俺の店は仙台市南西部に属しているから、イメージとして端から端に縦断することになる。
平地あり丘ありで道路もグニャグニャと曲がっていく大遠征かも知れない。
中年の男性から「大型冷蔵庫を買取して欲しい」と申し入れがある。
引越しは月末だが見積の上、引取日を決めてくれと言っている。
「引越し先では大き過ぎて置けない、だから小振りの物を買うことにしていて、電気屋は引取をエコポイントで5千円だす」。
意味不明だが、業者がどうやら5千円で買取すると言っているようなのだ。
「ハァ~、そうですか、それ以上で買い取ると言うことでどうでしょうか?」と聞いた。
「それで結構だよ、XX日の午前中に引取頼みたいが」と即決したのだ。
俺はよく使う見積手段でもある。
他の業者が見積をした、その情報を聞いて、それ以上をオファーすれば済むから楽は楽だ。
但し、注意しなければならないのは、検品していないから相手の話の信憑性だ。
でも、その話の可否判断は、長年の経験が役立つ。
口調や受け答えなどを聞けば、ある程度分かるものだ。
10階に1回くらいはババを掴んだりするが、あまり気にならない程度のロスだ。
電気屋も憎い事をやるものだ。
中古の冷蔵庫をエコポイントで買取をする。
そのポイントを自店で使ってもらい儲ける、同時に下取り品をリサイクル品で販売するらしいのだ。
ノコギリ商売は売りも買いも両方で儲けるが、これは更に上を行くトリプル商売だからね。
俺の方は、他の電話もあり、その時刻帯は半日ほど空けておく、そして、その前後とか日にちをずらして予約調整する。
大型冷蔵だと人員も要るから、人の手当てに腐心した。
電話での依頼の中には、完全に時間がバッティングするために断ざるを得ない件も出てくる。
朝に電話をしてきた中年男性が再度よこした。
「あのさ・・・今朝の話だけど・・・キャンセルして・・」とあっけらかんと言うのだ。
俺はあっけにとられて「理由は何でしょうか?ご希望の値段も出すのですが・・・」。
「家を買う人が冷蔵庫を欲しいって言ってるんだ・・・頼むよ」。
「おたく、家を売るんですか?そして、引っ越すんですか?」。
「ローン払えなくて・・しょうがないから売るの・・・じゃ、そういうことで!」。
彼はこんな具合に周りの人を振り回したのか、と思って諦めるしかない。