リサイクル親父の日記

第878話 互いにビックリするんだよ、本当にさぁ~

2010/02/10

その日はとっても寒い一日でお客さんはパラ パ ラ って、物凄く静かでした。
今朝一番で一軒家の買取を済ませていたので、商品陳列作業にはうってつけだった。
ギフト品の山と小型家具に珍品などをあっちに置こうか、こっちに置こうかと迷いながらやっていた。

カウンターで品物を検品しつつ値段を考えていたら、ヌーッと男二人組が目の前に近付いてきた。
老眼鏡から見上げると見覚えのある顔だが思い出せないのだ。
だから俺はジーィッと見続けるが、彼もまた俺を凝視するのだった。

俺と彼は互いに睨めっこするが如く見合った。
「あんたの店、ここか?」と彼は発した。
えぇ~と・・俺は記憶をたどった、そして、声色で思いだしたのだ。

「ど、どうも暫くぶりです、どうしたんですか?こんな所まで・・・」と質問した。
「探し物しててさ、仙台まで来たが見つからないから、あっちこっちのリサイクルを巡って・・・」と用向きを言う。
しかし、俺の店にも目的品は無くて諦めるしかない。

彼とその友人は店内を歩いていたが、骨董品コーナーを繁々と物色するんだ。
彼と友人は骨董屋さんなのだ、俺も参加するセリでの知り合いなのだ。
買いっぷりと気風のイイ彼は、気に入ると高額品を買いまくる癖があった。

「リサイクルにしては古い物もあるね、これは何ぼにしてくれる?」と古い獅子頭を見つけた。
友人も「これは古いね、状態もイイし・・」と同調している。
その後に本格的なネゴになるのだが、俺も彼の癖を知っている。

どの辺が落とし所かは彼の発する言葉ひとつひとつで察知できるから、でも、折角俺の店で再開したから・・・
できれば買って欲しいし、買い叩かれるの釈然とはしないし・・・矛盾もある・・
ある程度値引きはして、結局、彼も喜んでくれたのだ。

「あんたから去年買った大皿、七宝焼きの大皿は直ぐ売れて儲けさせてもらったよ」と自慢してくれた。
去年、大量に骨董の買取をしたんだが、資金回収もありセリに出品したことがあった。
俺の店ではお客さんがいないと思って、それに保管も大き過ぎて難しいから・・・

「古いのがでたら電話ちょうだい」と言い残して彼らは店を出た。
日々を重ねていると少しずつかも知れないが方法が見つかったりしている。
真面目に地道にやっていて、長く続けるのも大切だと思ったりした。