2010/02/11
若い青年二人組がやって来た。
スタスタと店内を早足で巡ると、ガラスの冷酒用お銚子を見つけると手にした。
「これだこれ!もっとないかな?」「向うも探してみるか?」と会話が聞こえてきた。
それはガラス製でお銚子の肩部から中に球状の窪みがあり、そこに氷を入れて酒を冷やすもの。
酒は氷の冷気だけで冷えるので冷酒を作るには最適。
会話の様子から自家用ではなくて営業用だと察しがつく。
次に漬物用の大甕を見つけてきた。
「これ安くなんないですか?」と聞いてきたが、「相当な激安ですからね・・・」と俺は答える。
「若いのに珍しい物を買いますね?」と聞くと、「店、やるんですよ」と明るい声で答える。
聞けば、仙台市青葉区の黒松という場所で居酒屋を始めるという。
「あの辺は住宅街だよね、良い場所が見つかったんですか?」と俺。
「確かにそうだよね、でも、覚悟してやることにした」と大真面目に答える。
俺は二人の買い方を見ていて思ったけど、真剣だし真面目だ。
服装はジーパンで今風だが、探す姿勢に選び方、全てが真剣なのだ。
今、俺の店で買った物は3点しかないが、方々を探しに歩いているんだろう。
開店も近いし、物探しに時間をかけている訳にもいかないから、だから、急いで探しているようだ。
どうなんだろうか?
一等地で大激戦区で創業するのがイイのか疑問もある。
高い家賃に追われて苦しむよりも、競争の少ない場所でちゃんとした店をやる。
飲食店には味と値段が良ければリピートするから、安心感や落ち着きがあれば支持されると思える。
彼らにその予感を感じたんだ。
「こんな時代だけど頑張ってください」と声援をしてしまった。
「ありがとうございます」と二人は声をそろえる。
不況を嘆いてもしょうがないのと、雇われるより自分でやってやるという気持ちが良いなあと思う。
ついつい他人に俺自身を重ねて考えてしまうほど歳を取ったらしい。
よ~く世の中を見渡せば、金をかけずに何かを立ち上げる方法は沢山あると思う。
青年は荒野を目指す、大好きなフレーズです。