リサイクル親父の日記

第900話 プルプル踊る俺の筋肉たち

2010/03/06

買取や引取作業では重い物は避けたくなる。
大きくて重いとなれば二重に避けたくなる。
作業は辛くてシンドイのが当たり前であり、老体は限界を超えられないから尚更だ。

誰でもが会社名を知っている大会社の仙台の事務所だった。
物はスチール製の事務袖机、よく事務机の隣に置く数段の引き出しタイプ。
重量を量ったことはないが20kgから30kgくらいだろうか、持ち上げるとズシリと感じる。
   
電話では総務関係の方が依頼をしてきていた。
大きな会社であり部署ごとに役割分担がありそうで、的確な説明をしてくれていた。
そのビルの中に別名の会社があるから、それは3階にあるそうだ。

広い駐車場には営業車と社員の車が40~50台止められていた。
トラックを奥の隅っこの邪魔にならない場所に止めて、玄関カウンターのインターホーンで用件を伝えて3階に向かった。
3階の通路に無造作に並べられた袖机が目的物であった。

「ハイ、分かりました、ところでエレベーターは何処でしょうか?」と俺は尋ねた。
「エレベーターは無いんですよ」と申し訳なさそうな顔をした。
「エッ、そ、そうですか・・・まぁ、何とかします」と俺はションボリ言った。

そして、俺は1台目をグイッと持ち上げて階段に向かった。
階段のステップは机で隠れてしまうが少しは見えるが、爪先を付く真下は想像するしかない。
右足、左足とドカッ、ドカッとゆっくり一歩一歩下りるのだ。

途中の踊り場で反転して又下りる。
3階からだから3回反転するんだが、従業員の人が行き交うから、その時は端っこに寄って避けるんだ。
1台目を下ろし終わった時に、5台全数は何とかなりそうだが最後はどうなるかなと心配も出た。

2台目を終えると、俺の額にうっすらと汗が、脇の下や上半身にもうっすらと湿り気が出る。
3台目を終えたら、息がハーハーゼイゼイと鳴りだしてきた。
4台目を下ろしていた時に、階段のステップの滑り止めに足が引っ掛かり転びそうになってしまう。

3階に戻るために階段を登るのだが、左足膝がブルッとするし、左腕の肘が伸びきっている。
俺は自分に言い聞かせる、ゆっくり、ゆっくり、一歩一歩、転ぶなよ、怪我するなよ・・・・・
・・・やっと、全部終えて、トラックに積み込んで、報告に3階に戻るんだが・・・

両脚はなかなか俺の意思通りには動いてくれなくて、ブルッ、プル、プルと勝手に筋肉が微動する。
両腕も肘を伸ばして張っていたから同様なのだ。
真っ直ぐに歩いているつもりが、あっちこっちにヨタヨタするから俺は悲しくなった。

老骨と老体の付き合いは一生続くのかと嘆きつつ自笑してしまう。
きっと整体に通うのが増えるんだと感じる。