リサイクル親父の日記

第918話 どうして止めないのか理由がどうしても分からない・・・

2010/03/25

俺がリサイクルショップを初めてから11年目だとしたら、その人は大先輩なのだ。
俺の倍以上の期間はやっているが、店は仙台市からは遠い場所にある。
同業なので顔は知っていて、知り合う前にリサーチで店に行ったことがあるが昔ながらのリサイクルショップという感じがした。 

ひょんなことから話をするようになり互いに時々情報交換をするようになっていた。
俺は不精な男で、わざわざ俺が出かけることはしていないが、その人が仙台に来たついでに顔を出すようになっていた。
ある日、物が大量にあるから仕入れをしないかと申し込んできた。

全品はとても応じきれないが、俺の希望する品を希望量出すのであればという条件で取引をした。
取引は互いに納得と合点がいかないと長続きしないから、初回は俺は無理を言わない主義なんだ。
業者間取引はセリでの相場が原則暗黙了解としてあり、極端に下げる訳にもいかない。

互いに損も得もしない範囲となるから、品揃えの補完的役割だと思えば、それが利点かな。
それから数カ月して再度買取依頼の電話があった。
俺は従前の通り取引をしたが、今度はトラック満載程仕入れた。

物量が多ければ俺が取りに行くが、少ない場合にはその人が持ち込むのだ。
かれこれ1年前ころに、景気が悪くてしょうがない、とぼやく様になっていた。
俺にも言えることだし、俺らは情勢判断や業界動向を今まで以上に胸襟を開いて語り合うようになっていた。

今年初め頃に電話があったが、俺は間に合っていたし在庫がある物でもある。
するとちょっと強引に売り込みをしてきたから、それでもヤンワリと俺には珍しく断った。
すると、その人は大変ショックだったと分かる話し方に変わってしまい落ち込んでしまった。

昨日久しぶりに電話があって、半々の気持ちで仕入れることにしたんだが、今朝一番で持ち込んできた。
荷物を下ろし終えて清算をして雑談になった。
・・・

突然シンミリと話すことが凄くシリアスで俺は身の毛がよだった。
どうして?どうして続けるの?どうして止めないの?
俺の胸に去来する思いは拭えきれない。

「全く売れないの・・お客さんが来ても直ぐ帰るし・・・買取も少ないし・・・
昔からの取引先に押し付けられて・・高く買わないと・・・断られると・・・
知って人も店を閉めたし・・・ホントに困ってる・・・」

その程度であれば、まだ頑張れそうに思えたし色々対策もありそうだ。
ところが話は深刻化してしまうから、俺は耳を疑った。
「・・赤字が酷いの・・・店だけでなくて・・生活もできない・・・赤字が大きくて・・・

だから1人でやっているが・・・大きい物や重い物は時間でバイトを呼ぶけど・・・
金がもったいないから・・・だいたい1人・・・なんとかするの・・・
赤字が増えて・・家賃が溜まってしまってて・・・どうもできない・・・」

経営はイイと気もあれば悪い時もある。
しかし、見極めは悠長なことを言ってられないから、英断も必要だろう。
返せない借金を増やし続けるのは被害者を増やすだけから、周りのために閉めるとかすべきだ。