リサイクル親父の日記

第921話 必死の値引き交渉かな?

2010/03/28

リサイクルショップの宿命ではないだろうが、お客さんは圧倒的に値引きを要求する場合が多い。
大きなチェーン店や混雑している繁盛店は事情が違うかも知れないが、兎に角値引き要求が多い。
ピシャリと断るのが店のルールだったが、高額品や売れ難い物はそうもいかない。

俺も駆け引きしているけど、買いそうかを見極めてから処し方を決めたりもする。
値段を付ける時には、できるだけ安くしたいし、大事に売りたい、なんて考えている。
姑息に値引きシロを含ませるようなことはしない、適正であることを常に第一に考えている。

だが最初からバカにしたように大上段で、「半分にしたら買ってやるよ」なんて言われると怒り心頭だ。
そんな時は無視するのがイイのだが、時には「あり得ない」、「何言ってんの?」と反発してしまう。
お客さんはお客扱いされないと逆切れしてしまうこともあり、そんな険悪ムードが漂ったりもする。

先程、ガラスケースに陳列してた洋ナイフをズーッと眺めていた男性がいる。
暫ししゃがみ込んで眺めてたが、いつの間にかスーッと帰って行った。
少しオタク気味だし、無愛想で無表情で何を考えているか分からないって感じ。

ところが数分後に戻ってきて、今度はクイックリーにガラスケースの前に寄った。
「これ!これを見せて下さい」とトーンが高いが調子っぱずれに言う。
ナイフを手にとって何度も見て、前から後ろから横から先から・・・刃に触って・・そんな状態で20~30分経った。

次に革のナイフケースを同様にいじりまわしていた。
そうしてから、おもむろに俺の方を見た。
最初に口がパクッと開いたが、声がしない???

もう一度、彼は意を決したのか口をパクパクと動かす。
今度は声が聞こえた。
「ケースの紐が少し傷んでます。・・値引きしてもらえない」。

それは値段が3千円、程度の良好な物だし、定価では2万円程度するのだ。
「値引きはできません、相当安くしてますし・・・」とキッパリ言った。
彼は顔色が変わってしまった、茹でダコの様に紅潮してしまった。

それから俯いてしまい、ナイフを手に持ったまま考え込んでいるのだ。
・・・
「ど う も・・」と呟いて帰ったんだ。