リサイクル親父の日記

第948話 俺は押し売りをしないんだけど・・・

2010/04/25

去年だから1年くらい前かな、中年男が工具売り場を物色していた。
「ちょっと・・」と呼ぶので彼の所に行った。
「これ、動くか?」と水中ポンプを指さして聞いてきた。

電源を入れてモーターが作動することを確認してから売り場に並べたものである。
「大丈夫ですよ、電源も確認済みだし、ただ、実際には試していないが、電源入れてみますか?」と答えた。
そうしてから、水中ポンプに電源を入れると、ブーンとモーターの廻る音が聞こえた。

次に男は、「これはどうやって使うんだ?」と使い方を聞くのだ。
「エッ?水中ポンプだから・・・水中に入れて水を出すんでしょ」と俺は答えた。
「何か付けないと使えないとかするんじゃないか?」と又又、不明な疑問を言った。

「まぁ~、吸引側は水に浸せばいいが、ホースを排出側は付けて使いますがね」。
「ウン、そうか、ホースは売ってないのか?」。
「現物しか、本体しかありませんよ、中古品だから」。

その日は男は帰ったが、翌日又やって来て、同じことを言ってきた。
数日後に男は三度も同じことを言うのであった。
いい加減俺も頭に来てしまい、「あんまりからかわないでくれよ」と男を追いかしたのだ。

すっかり男のことは忘れていたんだ。
ところが二日前に来た男が似ていたかも知れない、しかし、はっきりしないが、言うことが酷似していたのだ。
男が帰った後に考えてみると、どうも同じ男なのだ。

その男がさっき今年2回目だが、スーッとやって来た。
レジの俺に向かって歩み寄って来る。
「あれさ、あのポンプ・・・」と言いかけた時、俺はそれ以上言わせなかった。

「今日は買うんですか?もう質問されても困るから!」と強く言い放った。
男は口を止めて言葉にならないようにモジモジしていた。
「もうハッキリした方良いんじゃない!」と迫った。

「か、買うんだよ・・・」と男は俯いて答えた。
そして工具売り場に二人で行って、どれかを聞いて、サッサッと俺は持って来た。
男はポケットから何枚かの千円札を出してきた。

どうしても男の言動が理解できないのである。  
稀にではあるが、理解不能の人に出くわすことがある。
からかわれているのかバカにされているのか、おちょくられたいるのか?

面白い人と会いたかったらリサイクルショップをやるのもイイかも?