リサイクル親父の日記

第996話 錆びた刃物があれば、あるほど買いますよ、ってか?

2010/06/14

世の中には実に面白い現象がある、俺の想像をはるかに超えることもしばしば起きる。
捨てる神あれば拾う神あり、そんな橋渡しをリサイクルショップは生業にしているのかも知れない。
不用品などを買取して再販するのだから、当然そんな理屈ではないだろうか?

リサイクルショップも経営者の意思や嗜好、得意分野は店作りに強く反映されている。
近頃の細分化や拡大化は留まることを知らずに増殖の一途をたどっている。
個性的なショップはより個性的に進化し続けているから、バラエティーも豊富になっている。

普通の経営者は売り物にはしないだろう品質でも俺は扱ったりする。
例えば、錆びた包丁やナイフ、ハサミにナタのような物だ。
真っ赤かでは流石の俺も廃棄処分にするが、少々の錆はあまり気にしないで売り物にする。

刃物は刃が命だが、ちょっとの刃こぼれでも売り物にしている。
理由は簡単である。
最初の出来がイイものは、錆びてても刃こぼれしてても、研ぐことで再生が十分に可能だからだ。

俺が素人として研いでも目的を達することはできないが、買った人が好きに研ぐのは悪くない。
値段が格安だから、気のある人が素人研ぎをしても使用には問題ない。
その再生が可能だと判断できる物は売り物にしている。

ある中年男性がレジに来て言う。
「もっと錆びた刃物類は無いでしょうか?真っ赤かになっている物で良いんですが・・」。
俺は、「ン!?エッ??・・よく意味が分からないんですけど・・・??」と答えた。

「実は、わたし、催事をやってまして、錆びた物をデモンストレーションで研ぐんですよ・・
それで幾らでも錆びた刃物が要るんです、あっちこっちで催事をやってるんで・・・
東北や北関東の各地で、前に買ってた店が潰れてしまって・・物が集まらなくて・・・」。

「そうでしたか、ウチも錆が酷いのは売れないから処分してしまいますよ」俺は答えた。
「でも何点か使えそうな物があるので買いますよ」と彼は言う。
俺は、彼が使えると言う意味は、普通には使えないという真逆を指しているのと思った。

以前に女性客から、錆びた鎖は売れますよ、とアドバイスを受けたのを思い出した。
まだまだ俺は既成概念が大き過ぎるかも知れない。
しかし、1千人に1人しか売れない物を手掛けるべきかどうかは難問である。