リサイクル親父の日記

第8話 デカッ!運べるかねぇ?でも、頑張る

2010/06/26

ある昼下がり30代の男性が控えめに問うてきた。
「冷蔵庫やレンジは買取してもらえますか?」と妙に神妙な聞き方だ。
聞くと、2年前に購入したらしく、実家に戻るので要らなくなるそうだ。

「社会保険病院の近くです・・・」と仙台市太白では有名な名前を口にした。
直ぐに頼みたいということだったので向かうことにして、地図で調べると、病院の近くだが道路が狭そうだった。
ナビで示した通り進んだが、入り組んだ狭い道路と反対の広い通りに着いてしまう。

そこで迷っていると、路地から彼が現れて、誘導してくれた。
相当戻ってから小道を入るのだが、時々ナビはこんな状態を示す場合があるから注意しないといけない。
冷蔵庫、レンジ、それにガステーブル、カラーボックスにレンジ台と全てが良好である。

新築のアパートには他の物は綺麗に片づけられていて、それらが侘しげに置いてあった。
一応検品していると、彼は心配そうな表情で「ど、どうですか?」と訊ねてきた。
「買取は全く問題ないですけど・・・ただ、冷蔵庫が・・」と俺は唸った。

「エッ?ダメですか!?」と彼はしょぼくれたのだ。
「そうじゃないんです、運び出せるか心配なんです」と俺は口にした。
6ドア450L以上の大型である。

ドアーから難しい場合にはベランダを考えるのだが、隣の建物に接しているし手摺も施されている。
玄関戸一枚で目一杯のサイズだろう、玄関床が90X90cm弱で、部屋床は10cm強高い、それから横移動しないと部屋の中に行かない。
これは冷蔵庫を垂直にして移動させて直角に2回は曲がらないとならないのである。

冷蔵庫には底部にローラーが付いていて移動し易いが、段差があると引っ掛かりも出てしまう。
最大の難関は玄関部は狭い、1人が通るスペースである、冷蔵庫があると人が付ける場所が限られるのだ。
こんな時に考えることは、無理し過ぎて建物にキズを付けてしまうことや冷蔵庫にキズを付けてしまうことだ。

「・・何とかお願いします・・そうしないと・・・」と彼の声は弱弱しくなる一方だ。
「二人でやれるだけやってみましょう」と彼に促した。
玄関床にどうしても下ろせないのだ、垂直持ち上げて移動して、理屈は分かるが、持ち上がる筈がない。

ではと、ソロリソロリと横移動をするが、段差で傾くと上部が壁に合ったてしまう。
そこでにっちもさっちもいかないという案配だ。
これは人数の問題ではないのだった、だって、触れられる人数は2人に限るから・・・

10分以上も押したり引いたり重い冷蔵庫を狭い場所でやっていたら、汗が噴き出して垂れていた。
ちょっと一休み、外に出てタバコを一服つける。
カッカした頭を風に冷やさせてから、問題を検討して対策を考えた。

段差の解消、10cm強、何かかませるとか、かませる物は、そうか!!!!
偶然だろうが閃いたのだ。
台車がトラックにあるのだ。

台車の大きさは玄関の広さにピタリとマッチした、広からず狭からずにだ。
それでも段差が少しあるから、それは毛布を畳んで敷いた。
そうして、少しだけ1cmづつ横移動を繰り返して、冷蔵庫を垂直気味にして・・・なんとか運んだんだってさ。