リサイクル親父の日記

第23話 おとうさんが居ない時に来て・・・ストレス解消なのよ

2010/07/12

俺は間男じゃいよ。
「おとうさんが居ない時に来て・・」って言われても、何のことか分からない。
電話で聞いた時に、意味不明な事を言うおばさんだなと感じた。

買取依頼の電話でそんな事を言われたら面喰らう。
「ハァ~?買取品は何がありますか?行くも行かないも、それ次第ですが・・・」と俺は伝えた。
「いっぱいあるわよ、扇風機が3台でしょ、ホームベーカリー、1回しか使わないの、それに・・・・」長い説明だった。

小型家電品が十数点はある、買取もできそうだった。
「使わないとおっしゃいますが、売ってもいいんですか?勿体ないんじゃないですか?」と念を押した。
「わたし、色々買うけど、使うと色々合わないことが分かって、それで、使わなくなるっていうのかしら・・・」と長くなった。

「ハァ~、そうですかねぇ~・・」と分かったよな分からないような相槌を打った。
「買い物依存症ではないけど、ストレス発散してるの・・だから直ぐに買ってもいらなくなって・・・」説明は又しても長くなる。
「最終的には現品を確認しないと査定できませんが、状態が良ければ大丈夫ですよ」。

「場所はね、泉区のXXXX、時間はおとうさんの居ない時、朝が早い方がいいわね、わたしも用事があるし・・・」。
「エェ~、随分遠いですね!」と住所を聞いて俺は素っ頓狂に声を上げた。
「どの店もそう言うけど、お願い来てちょうだい」とお願いに変わってしまった。

仙台市泉区の北端の住宅地だから、俺の店とは南北正反対で、ゆうに1時間以上はかかるのだ。
幸いに早朝の時間だったから、道路は空いていて1時間ジャストで着いた。
日中であれば1時間半かかったりするだろう。

「前に色々売ったことがあるの、そしたらタダだって言われてね、遠いからって。お宅は買ってよ、そう言ったんだから!」強気だ。
扇風機も冷風扇もベーカリーも電気ヒーターなど、どれもが良品である。
おばさんは、1点毎の査定金額を聞いてくる。

俺はその都度、何円ですと答えたが、途中で面倒にもなる。
「奥さん、売りたい物全部を教えて下さい、その方が査定し易いし」と申し入れた。
「でも、安いとイヤだわ、・・・う~ん、それもそうよね」と折れた。

1点毎に買った動機と結末を説明するから、交渉するまでに相当の時間がかかってしまうのだ。
「ところで、どうしておとうさんが居てはマズイの?」と一番気になっていたことを聞いた。
「・・だってぇ~怒られるし、内緒で買っている物もあるし・・でも、私のお金で買うんだけど・・」と声が小さくなった。

やがて、倉庫にあった物が無くなり、倉庫は空に近い状態になった。
「あぁ、スッキリしたわ、助かったわ、又、その内にお願いしますから」と晴れ晴れした表情。
「おとうさんが居ない時ですかね?」と聞いた。

「勿論です、依存症じゃないけど、ストレス発散で買うんだから・・・」と納得顔。