リサイクル親父の日記

第29話 仙台市中心部からやって来る、頑張る中国人かな・・

2010/07/18

ひょっこり店に入ってきた痩せた眼鏡の青年がいた。
相当な時間を過ごしているが、気にしてもいなかったから、もう店から帰ったと思っていた。
すると厨房機器売り場から彼が姿を現したから、なんだまだ居たんだと思った。

中国人かどうかは別にして、韓国人や中国人は日本人に風貌は似ているが、微妙に違いもある。
彼も同様に見た目は変わりがないが、仕草や所作にちょっとした違和感を感じさせた。
やがて決断できたようでレジに寄って来て言った。

「いろいろ欲しいが・・あっちで・・幾らにしてくれますか?」と厨房売り場に誘う。
やはりアクセントと少したどたどしい日本語である。 
「買う物次第で値引きも考えますよ」と俺は後を追った。

もっと負けろ、これが限界です、そんこと言わないで、無理無理、と交渉は込み入ったが成立した。
俺は「中国の方ですか?独立するんですか?若いけどやるね」と聞いた。
「そう、わたし、中国人、もう直ぐ店始めます、お金たくさんかかります、助けて下さい」と再交渉を申し込むのだ。

再交渉を聞き流して、「何処でやるんですか?国分町ですか?」と開業場所を尋ねた。
「違う、違う、荒巻です」と仙台市中心部から少し離れているが小高い住宅密集地区を教えた。
「そう言えば、わたし、あのリサイクルショップでこの店教えられたよ、知ってる?」と俺に聞く。

俺が考えていると、「街に厨房品ある店、無いから、それで来たよ」と更に説明する。
彼の言うことは一理あるのだ。
家賃が高い街の中心部では売り場の制限もあるから、小粒で高額品を主に取り扱う。

売り場を広くできるの郊外店だ、だから事務機や家具、厨房品は殆どが郊外店となってしまう。
街中の同業者を知ってはいるが、しかし、1人か2人しか知り合いはいない。
それにしても彼の言った地区ではないから、俺は考えていたのだ。

採算の後、彼は紙を取り出して示した、「この店から・・知ってるでしょ?」。
ムッ!それは店名は知っているが、知り合いの店ではないのだ。
「知ってるけど・・知り合いじゃないよ」俺は答える。

「わたし、この辺よく知らないから、車で来て、ここかと思ったよ・・・
でも、欲しい物、見つかったから、良かったよ」と喜ぶのだった。
交渉はきつかったが、決めると金払はイイのだ、即断即決できるし、きっと中華料理屋は繁盛しそう。