リサイクル親父の日記

第32話 子供が減ったし、大手に敵わないから、と閉めた仙台泉の学習塾

2010/07/21

俺は電話を受けた時、そっか~又かぁ~と思った。
5~6年前頃から、学習塾廃業に伴う買取が増えていると思う。
「塾で使ってた長椅子とパイプイスがあるんだ、買取してくれないか?」中年男性の声。

「どれくらい使いましたか、傷みはどうですか?」と定型質問をした。
「キズはないよ、状態はイイよ」と言っていたので、行くことにした。
仙台市泉区の住宅街の白亜の2階建て1軒家で、30年前頃開発された地区である。

玄関扉を開けると、折り畳み長テーブル4台とパイプイス十数台が並んでいた。
積み込みを終えて領収書を記入してもらう時、「塾は止めたのですか?」と聞いた。
「今は子供が少なくなっているし、それに大手には敵わないからなぁ」と呟くように話した。

この住宅街が開発された頃は、この地区にも子供がたくさんいたんだろう。
そして子供は育ってしまい、新たな子供は少なくなる一方で、当時住みついた人たちは高齢化してしまっている。
駅前には大手の学習塾が乱立しているが、それ以外の住宅街でも大手の進出が激しいだろう。

塾だけではないのだろうが、キャパが縮小する中での競争は非情で非常に厳しいものだろう。
俺が買取している学習塾は、100%が個人経営であるが、そして住宅街だったりしてた。
大手はやったことがない、それは俺の店ではなくてメジャーな店に話がいってるかも知れないが・・・

どんな業種でも個人事業としてスタートして成長して、すると企業化が進むのだろう。
頭のイイ人たちは更に進化発展させて、全国制覇にしのぎを削るようになっていくようだ。
俺がリサイクルショップを起業した時に考えたことが、今現実となって俺を奪っている。

地方での雄は肥大化して全国展開してきたし、その大波に俺は晒されている。
当時考えたことがもう一つある。
大手は大型店舗に従業員の充実を図っているが、それこそが弱点になる可能性を秘めていると思う。

そのリスクが顕在化するにはもうしばらく時間がかかる。
もっともっと出店が増え続けて過密する必要がある。
その時に、かれら大型店の効率が低下するかも知れないのだ。

その時まで俺ら自営業者が生きているかどうかは別だが、大手同士の競争激化は起きてくる。
市場を棲み分けできる間は互いが成長できても、ぶつかり合う時に淘汰が起きるのだ。
学習塾を見て、将来のリサイクルショップ業界を考えずはいられなかった。