2010/07/29
ある夕方だった。
西日が強くて、店内はいつものようにガンガン蒸し暑くて、夕方は特に強烈なのだ。
冬は西日が有難いのだが、盛夏には大きな迷惑に思えるから、俺も勝手である。
1時間以上も工具売り場で探し物をしてたおじさんがいた。
ガタン、ゴトン、ガチャガチャと異音が何度も聞こえた。
電動工具は鉄の塊のようなもので、出したり仕舞ったりする時に大きな音が出るのはしょうがないが・・・
筋骨隆々のおじさんは木箱に入った電動丸ノコギリを持ってレジに来た。
カウンターにどっかと置いて、するとキョロリと見渡して、ティッシュを数枚抜きとる。
大粒の額の汗をティッシュが汗で溶けるまで拭いたのだった。
「ここ何度あんの?」と拭いても噴き出す汗を拭きながら聞いてきた。
店の温度は34~35°くらいはある筈だが、俺は寒暖計を見ないようにしているのだ。
連日、俺は店で猛暑を耐えるだけだし、何処かで涼む訳にもいかない。
「相当暑いですね、温度は30度以上はあるでしょうが・・・」とすっとぼけ気味に答えた。
仙台も真夏日が記録的に長く続いているから、熱中症に注意して水分補給を欠かさずに励行している。
無理しながら麦茶とスポーツドリンク、それにホットコーヒーを多く取るようにしているから、汗もダクダク気味。
「一杯、どうぞ」と麦茶を差し出す。
ゴックと飲んだと思ったら、おじさんの顔中に又しても汗が噴き出してきた。
パッパッと数枚抜き取り、汗を拭う。
重い電動工具をとっかえひっかえして、重労働(?)をやってたのだ。
燃え上がった身体は簡単には治まらない。
「よくまぁ、こんな暑い中で毎日やっていられるねぇ?」。
無い物ねだりをしてもしょうがない。
耐えるというけれど、暑さも忘却することだ。
死ぬわけではないから、耐えるのではなくて、考えないようにするだけというのが正解だ。