リサイクル親父の日記

第55話 近くて遠いお客さんかな?

2010/08/12

数か月前まで10年間ほど仲良しお婆ちゃん2人が連れ立って来ていた。
1人はバスで2ツ先に御主人と住んでいる。
もう1人は店のすぐ裏の借家に1人住まい。

バスで友達の所に遊びに来る、そして、二人で店に来てちょこっと買い物を楽しむ。
1月に最低1回は来ていた、多い時には2~3回という場合もある。
それぞれの人生があるから関係は分からないが、俺からは仲のイイお婆ちゃん達でいつも楽しそうに見える。

少女趣味と思われる可愛い皿やガラスコップ、ヌイグルミや雑貨品を買うことが多い。
俺も長い付き合いだから、時には息子のようなズケズケした言動で接している。
二人とは心の通じた関係に近いが、俺はあまり詳しいことを聞いたりはしないように気を付けている。

どちらかが話すことを頷いて聞いてあげて、時々上げたり下げたりして和気藹藹を演出している。
陽気で朗らかになれればと俺もジョークを交えている。
今年春に来たんだが、それから来なくなっていた。

梅雨から真夏になりお年寄りにはキツイ季節だし、涼しくなれば又来るだろうと思っていた。
ところが今日の朝、バスのお婆ちゃんが1人で来たんだ。
「あれま、1人ですか?」と聞いた。

「あのね~xxさん、来る?」と同じ質問を返してきた。
「いえ、全然来てませんけど・・・」。
「わたし、あの人と歩くの止めた方がイイと思って・・もう家に行かないようにしてるのさ」。

どうして?と思った、あんなに仲良かったじゃないの。
「物忘れが・・ひどくてね、お金貸しても・・とぼけるように・・・」と本音を吐露した。
「何百円くだいだったら、まだね・・・それが5千円や1万円でも・・わたしも・・」。

とぼけるという表現は違うのだった。
物忘れが激しいのが事実だる。
以前から店で買い物をしても、払ったかどうか一瞬で忘れてたりしたことがある。

時間が経つ毎に物忘れは酷くなっていて、俺も何度も2度支払いを受けそうになった。
「xxさん!さっき、お金もらったから、済んだんだよ」と注意したりした。
バックにし舞い込んでから、「わたし、何か買ったかしら?」と言ったりもしてた。

記憶の回路が切れたり繋がったり・・・認知症だろうが・・・
裏の家でお婆ちゃんは1人でどうしてるのかな?近くて遠いが。