リサイクル親父の日記

第65話 見積だけでたいへん、この仕事はきっと無理だね 

2010/08/24

仙台市長町の「ザ・モール」からほど近い住宅街である。
マンションもアパートも一軒家もたくさん密集している。
構造的にはRCということだろうが、4階建でエレベーターがないから階段で上り下りする。

横長で一か所の入り口で例えば、101号室と102号室があり、2階に201と202となる。
目的の406号室は建物の奥側の3番目の入り口から入ることになる。
救いは、階段が少し幅広で踊り場も広いということだ。

この夏の時期に4階から階段で家具や物を運び出すと思うとゾッとしてしまう。
おじいさんが最近亡くなって、おばあさんが東京に住む娘夫婦と同居するという。
3LDKのマンションを売却するが、一切合財を片付けるが買取できないかということだった。

十数年住んだために、物が溢れているが、持って行く物は少ないらしい。
だから布団も何組もあるし、食器類も山ほどあるし、それはそれは大量なのだ。
その中から買取できそうな物を探し出すのだが、なんとも手間がかかる。

箱に入っている物は中を開けないと分からないから、一つずつ開けては仕舞う作業だ。
サイドボードや茶ダンスにもビッシリ入っているのだから、延々と開けては仕舞うのだ。
押入れの中も、部屋数も多いし、収納が多いときてる。

俺が見積査定する脇でおばあちゃんはジィーッと見ている。
「それは写真なの、たくさんあって、どうしようかと迷うのよ、捨てる訳にも・・・
それはおじいさんが好きで集めたのね・・・これ古いからダメでしょ?・・・」。

もう直ぐこのマンションを出るが、思い出がいっぱい詰まっているのだろう。
ここに住んで十数年だが、都会暮らしは意外に友人知人が近くには居ないようだ。
例えば俺のような業者だろうと、話ができる人が来ると堰を切ったように話しだすのか。

「どうですか?何とかなりそうですか?」と心配そうに聞いてくる。
「それなりには・・・でも、買取できる物は少ししかなさそうです」と答える。
「えぇ、詳しいことは娘の方に連絡してくださいね、全部やるってるので・・・」。

東京の娘さんからの見積依頼だった。
数件に依頼して高い所に頼むと言っていたが、どうやら俺は無理だろう。
実際買取できる物が少なく、運び出し作業の方がはるかにたいへんである。