リサイクル親父の日記

第83話 姉は芸者だったんだ、可愛らしいかつら飾りが・・・

2010/09/12

仙台市太白区東中田に俺のリサイクルショップがある。
国道4号線と南北に並走している4号バイパスが並走する地区で、店から東方地区には旧住宅地が広がっている。
だから東方地区は古い道路が蛇行したり入り組んだりしていて、俺は結構迷うことが多いのだ。

ちなみに西方地区は農地だったようで、それが宅地開発で区画整理が整然となされたようだ。
東方地区の名取川堤防に近い一軒家の年配者からの買取依頼だった。
「姉が芸者だったんだ、もう病気で・・多分回復しないから、その家の片付けで・・家具とか買取して欲しい」。

「随分前の物で古いから・・どうだかね、兎に角、見て欲しい」と彼はガラッパチ調に言ってきた。
普通は話の状況で難しいと判断するのだが、店から近いから行くことにした。
どうやら芸者だったお姉さんは1人暮らしの晩年らしい、本人の物しか置いてないから分かる。

弟は二人いる、60代に70代という年齢だろう。
その家を片付けてどうするかは分からないが、家具も何もかも始末しないといけないと言っている。
しかし、家具は予想通りひび割れたりしてるし、到底売り物にはならない。

「そうか、やっぱりなぁ・・・他の物、食器や人形、着物、何でもイイから持って行けないかな」と懇願してくる。
それから俺はサイドボードや茶ダンスの中に飾ってある置き物を凝視したけど、欲しい物が見当たらない・・・
と、福助の人形にお福さん人形置物が目に入った、小さく可愛らしげである、これだ!

ガラス戸を開いて、人形がギッシリ詰まった棚を詳しく探索する。
初めて見る芸者のちっちゃな人形、日本髪の結い方の置き物など珍しい物が出てきたのだ。
日本髪の可愛らしいカツラは、美容室に飾ったらとても似合いそうだ。
茶ダンスの奥には洒落た急須が数個、引き出しからは箸置きや湯呑が数点、・・・・・

博多人形作家物和装美人、それから俺は本気になって、あっちもこっちも探し出していた。
弟二人は俺の探す物のポイントが掴めたようで、これはどうだ、あれはどうかと勧めてくる。
台所の最上段の棚から新品の鍋を持ってきたり、俺ら3人は仲間の様に協力し合っていた。

その日、俺は次の予約があったため、程よく車に積み込んで、明後日又来るとさよならを言った。
珍しい物がなんだかんだで数10点も手に入ったから、早速店に陳列をしたんだ。
予断は本当に禁物である、できる限り出歩かないといけないなぁと反省したんだ。