リサイクル親父の日記

第84話 娘もいらないって言うから、置いてても使わないの

2010/09/13

リサイクルショップに買取を申し込む場合に、意外に初めての方が多い。
仙台市宮城野区鶴が谷という場所は、大変大きな住宅街である。
一戸建ても碁盤の目状に広がっているし、市営住宅や県営住宅もたくさんある。

「椅子やチェストなどが使ってなくて・・買取ってできますか?」と控えめに聞いている。
どれくらい経った物か、キズはどうか?を聞くと、まあ買い取れそうだと判断できた。
数時間後、その家に着いたら閑静な住宅街の角の瀟洒な白壁造りである。

玄関ドアーが半開き状態で、門扉のインターホンを押すと直ぐに奥さんが顔を出した。
玄関に買取品が5~6点置いてある。
「これなんですけど、どうかしら、チェストは2階です」。

マルニの1人掛けソファー2脚、丸テーブル、壁つり段棚、竹編み大振りバスケットなどだ。
2階のチェストは幅は狭いが金具が凝っているしブランド品であった。
「大変状態がイイし、どうして使わないんですか?」と思わず聞いた。

「数年前に家具の模様替えをして、新しい物を置いたんですが、それで余ったんです・・」と一度話を終える。
「娘に使ってもらおうと思ったら、マンションも狭くて、それに好みが違うらしくて・・・」。
これはよくあるパターンで、イイものだからという価値観ではなくて、気に入るかどうかが優先されるのだ。

どれもが良品だが、色調はアンティーク風ダークブラン系統である。
若い人たちは好まないかも知れない、中年が好むタイプであることは明白だ。
それにその家には数段上等な物を新調したから倉庫で眠っていたようだ。

今後も使うことは無いから、倉庫片付けという具合になったのだ。
か細い奥さんは、それらを玄関まで運んできていたが、2階のチェストは1人では下ろせる訳は無かった。
ズシリと重量感のあるダニエルの瀟洒なチェストは引き出しを抜き出してからで無いと下ろせなかった。

査定を説明すると、「そんなにいただいて、宜しいんですか?」と驚かれた。
どうやら俺は、ジェントルマンズマインド、イイ人には甘い査定をするようなのだ。
そして、時には、目には目をという真逆もやってしまう悪い癖もある。

誰にもいつも平常心で同等な対応を心掛けたいが、どうやら俺もちっちゃい人間だしできそうにない。
感情の起伏が対応を左右するから、感情の動物そのものです。