リサイクル親父の日記

第86話 ギョッ、ギョギョギョのギョッ!

2010/09/15

俺はリサイクルショップで販売を目的に買取をしているスタンスだ。
商品にならない物は買取も引き取りもしない方針ではある。
電話で内容を確かめる作業は重要で、それ次第で出張するどうかを判断する。

仙台市長町駅近くの高層マンションからの買取依頼だった。
「チェストやテーブル、ギフトもあるんですが・・・」と申し入れがある。
これは問題なくやれると思ったから、話を進めた。

建物密集地でトラックの駐車に苦労するから早い時間でお願いする。
俺の予想は30分もあれば作業を終える筈、家具が2~3店とギフト少々だとすれば2往復と読める。
エレベーターで12階の一番端の部屋に向かうと、眼下に新幹線と在来線の線路が見えるし、長町周辺が一望できる。

時々上る高層マンションからの眺めは、俺のリサイクルショップとしての密かな楽しみである。
毎日だと日常と化してしまい感激も無くなるだろうが、稀にだと心から感激できるようだ。
荷物の運び出し作業は決して楽ではないけれど、俺流のゆとりでもって楽しもうとしてる。 

玄関を入り手前の部屋に通されて説明を受ける。
「このベット、あの本棚、それに古い原色クリアーケースの山、・・・・」。
通路を挟んで向かいの部屋に行くと「健康器具とばらした棚、段ボール入りの置物、クリアーケースの山・・・」。

俺は戸惑いを隠せなくなった、同時に対象物の数量の多さに唖然としてしまった。
「洗濯機でしょ、レンジとレンジボード、食器棚も・・・テーブルがこれとあれで・・・居間のクリアーケースも・・・」。
電化製品が10年以上の物だし、他の物も使い古されている物がほとんどではないか。

「あの~ほとんど商品にはなりませんので・・難しいですよ、お金がかかりますね」と伝える。
「えぇ、お金かかってもイイのよ、処理して欲しんです」と奥さんは予想してた様子だ。
それからが運び出し作業がとっても大変なのだった。

狭いエレベーターで台車1台分しか入らないし、朝の通勤通学でエレベーターは混み合ってしまう。
端の部屋からエレベーターまでが遠い、マンション玄関からトラックまでが更に遠いのだった。
何度も何度も行ったり来たり、上ったり下りたりしたんだ。

奥さんが作業を終えた俺に言った。
「最初にギョッとしてたわね、リサイクル屋さん」だって。
「だってぇ~電話と全く違ってたから~」と返したんだ。