リサイクル親父の日記

第89話 ここで買ったんだから買取しろよ、と迫らてもね、できないものはできないから・・・

2010/09/18

リサイクルショップだから中古品を買取して再販するのは当然だ。
仙台市の近く岩沼市は車で20~30分かかる場所だ。
4~5年前に岩沼市に引っ越してきた中年の夫婦がいた。

昨夜、店の閉店間際にレンタカーの箱トラックで店の前に乗り付けた。
俺の顔を見ると、「ここで買った家具さ、買取してよ、憶えてるだろう」と意気込んでいた。
「憶えてるだろうって言われても・・・家具は種類や状態によりますが・・・」と答える。

お客さんは4~5年前に俺の店で買ったと記憶してるの普通だろう。
しかし、どうして俺が記憶してると思えるか不思議でならないが、それ以来店にも来てないにもかかわらずにだ。
自己中心的な人には多いが、客観性が無く人の話を受け入れないタイプだ。

真後ろの観音開きアルミ戸を全開すると、ソファーにコタツ、大型洋服タンスが店の薄明りで見えた。
ソファーを下ろして検品すると、状態がイイから問題は無い。
古いカジュアルコタツはコードが無く、天板も荒れているから無理だ。

トラックの荷台前方に横幅一杯に陣取っている洋服タンスは、4枚扉のワードローブである。
現在、俺の店では大型家具が非常に売れ難いし、だから、売り場に置かないようにしていた。
最大の欠点、薄暗くてもハッキリと見えるキズが付いている。

販売時には無かったキズであり、使用したり移動したり積み下ろしした時にでも傷めたのだろう。
「あの洋服タンスは買取はできませんが・・・」と説明しだした。
すると二人は目の色が変わった、同時に青ざめる。

「どうしてだよ、おたくからか買った物だぞ、買取しろよ」と夫が強弁した。
妻も「・・東京へ引っ越しに運んだけど、部屋に入らなくて戻ってきたのに・・・」と迫る。
へ理屈だし、自分本位だし、どうして俺が商品にもならない物を引き受けないとならないのか?

二人は東京へ引っ越して行くことになり、レンタカーで荷物を運んで行ったが部屋に入らない。
レンタカーを返しに戻って、ついでに俺の店に買取を申し込んできたという事情だった。
「ふざけんじゃじぇ~よ、売っておいて、買取できないとは義理も何もないのか!」と啖呵を切る。

「この傷では売り物になりませんし・・当時は大型家具もそれなりに売れましたが・・・・
今は中型や小型家具しか売れない状態ですから・・・」と再度説明した。
暗い夜の中、二人の眼光が店の明かりで異様に光った。
・・