リサイクル親父の日記

第92話 オラは酔っぱらっただぁ~、雨の日の朝に

2010/09/21

ある小雨の朝、店のノボリを立てて開店作業を終えて着席した頃。
お爺さんがビニール傘をぶら下げて店に入って来た。
入口に傘立てがあるが目に入らないのかと思ったくらい。

レジと反対方向の電化製品売り場方向に歩くが、ヨロッ、ヨロッと足元がおぼつかない感じだ。
年齢もあるし、足の具合でも悪いのだろうかと思った。
転倒する危険はないようなので安心して、俺はデスクワークに取り組みだした。

リサイクルショップでも新聞に目を通したり、ネットニュースに注意を払うようにしている。
稀に同業の記事を発見して、驚いたり、慌てたり、そして対策を考えたりする必要があるのだ。
すると、家具売り場からさっきのお爺さんが声を出している、「オ~~い、ちょっと~~」。

大変か細い声で弱弱しいのだが、他に誰もいないので聞こえることは聞こえた。
俺が近寄ると、高さ60cmのミニ食器棚を指さした。
「これ、ガラス戸が曲がってるぞ、おかしいぞ!」とろれつが回らない感じがした。

「そ、そうですか?中古ですし・・ねぇ」と俺は答えたが、その開きは上部でほんのちょっぴり、僅か数ミリあるかないか程度。
「おめぇ~おかしいぞ、これで売ってるのか!」とイチャモンと思える言い方になった。
「う~ん、リサイクルショップだし、中古品を売っているんですから、現状販売ですよ」と説明する。

お爺さんの吐く息が酒臭い、朝から酔っぱらってるとは呆れるばかりだ。
ジャージーのズボンが所々破れている。
ジロッと睨み返して、「おまぇ~、おかしいぞ!」と言い張って来たんだ。

俺は我慢して同じことを説明する、それを3回繰り返したのだ。
「もうこれ以上説明をしてしょうがないし、どうぞお帰り下さい」と最後通告をせざるを得ない。
「なに!お客だぞ、帰れとは何だ!」酔眼がメラメラ燃えだした。

「これ以上くだを巻かれると警察を呼びますから・・」
「何だこの、警察?上等だよ、おれはお客だぞ」
そして俺は交番に電話をしたんだ。

交番の電話はなかなか通じない、呼び鈴が鳴り続けていた。
お爺さんは通じないと思ってか、グダグダわめきだしていた。
やっと電話が通じて、店の住所と事情を説明しだした。

泥酔してても警察が来るとなると困るらしい。
スーッと店から消え去った。