リサイクル親父の日記

第93話 とっても状態がよろしんですから・・・仙台ど真ん中のマンションは・・

2010/09/22

仙台市中心部、ど真ん中のマンション住人から出張買取依頼の電話である。
中心部は密集地域であり、2トントラックで出向くには躊躇するんだ。
道路に面していれば尚更だ、マンション敷地に駐車場所はある筈がないから・・・

上品で丁寧な話し方をする中年女性に思えたし、言葉使いがちょっと時代がかっているようだ。
「家具なんですけど・・・とっても状態がよろしんですよ・・いかががかしら?」
俺は家具の種類と使用年数を聞いた。

「あのねぇ~わたし1人暮らしですし、丁寧に大事に使ってましたの、キズなんてございませんわ」
種類は10点あると詳細は明かさない、そして、使用年数の様々だと明かさない。
「マンションからお引越しをするんですわ、それでね・・・」

一等地のマンションで1人暮らしの年配女性、上品で丁寧な方だから期待が膨らんだ。
近くの有料駐車場に車を止めて見積に向かった。
日中の幹線道路はやはり大混雑してるし、バス停がまん前にあるから、これは早朝しか作業できないと思った。

2LDKの部屋、居間の両隣に寝室とタンス部屋。
寝室の半分をダブルベットが占めている、チェストに棚が肩身狭そうに置いてある。
タンス部屋には仙台ダンス2台が幅を利かせている。

おーっ、これは良品家具があるぞ、食器棚も渋くてイイ、仙台タンスのイイ、ガラス戸飾棚もイイ、な~んて思った。
「わたくし水商売でしたのよ、歳には勝てませんし・・別な場所に引っ越すんですが・・・」
商売柄衣装もかなり持っているだろうし、金回りのイイ時もあったから高額品も買ったのだろうか?

「それでね、このテレビ台でしょ、ベット、棚・・・などを買取していただこうかと思ってまして・・・」
いつまで待っても良品家具に話がいかないから俺は聞いた。
「仙台ダンスなどは・・・買取できますけど・・」

「あぁ、そちらはね、もらってくださる方が決まってますのよ」
エッ、それはないよ、心で叫んだ。
「そ、そうですか、今聞いた家具類は買取はできませんよ、古くてキズもありますし・・」

「そ!!それでは結構です、どうも御苦労さま!」とピシャリと言ったのだ。
まるで国分町の大ママがホステスに言うように。
誰もがイイ物は欲しがるけど、キズ有りや古い物は欲しがらないだろう、だから、それを買取しろって!?

長年染み付いて接客言葉だが、立場が変わると豹変してしまう。
俺が買取しないと分かると、本性が露呈してしまう。
人間性の本質は、こんな些細なことでも出るんだね。