リサイクル親父の日記

第98話 俺が燃える女は、又しても・・無理ですね

2010/09/27

リサイクルショップとしては商品が欲しいし、イイ物は喉から手が出るほど欲しいのだ。
高額品は利益金額も大きくなるし、イイ物がたくさん店にあれば、買うお客さんにもイイことだからね。
だから買取は積極的になるし、イイ物に対してはより積極的になる。

6~7年前に高級ブランド女性腕時計を持ち込んだ女性がいた。
偶に店に来てたかもしれない、背も高くスラリとしてスタイルが良く、持ち物もブランド品だらけ、赤色ベンツの2シーターオープンカーだった。
「ロンドンのヒースロー空港免税店でだいぶ前に買ったの・・もう使わないし・・買取してくださいな」

確かにスイス製のブランドである。
定価が大変高額だし、買取金額も相当でないと手放さないだろうと思えた。
俺はそんな高級品の買取をしたことがなく、検品の仕方が分からないのだ。

一つは、話の内容で人間性を判断する。(辻褄が合っているようだった)
次には、身なりや持ち物で判定する。(非の打ちどころがない、地元に珍しいセレブってやつだ)
最後に、欲が強いかどうかで見分ける。(安くて構わないと謙虚だった)

当然だが、時計も虫眼鏡で隅々まで入念にチェックするんだ。
その結果、とうとう俺は買取を決心した。
店での販売価格から逆算した査定金額を提示すると、アッサリと了解してくれた。

後日、時計に詳しい同業者に見せたら、一笑に付されたのだった。
あの大失敗は俺の尊い経験の一つだ、それからは儲けだけに走らないように自戒してる。
その後も1年に1~2度の割合で彼女は店に来る。

ある時は1人で、或は、成金趣味のキンキラキン旦那を連れている。
今日も夫婦でやって来た。
久しぶりに買取を申し込んできた。

二つ折りのブランド長財布、しかし、時計のことが頭をよぎるから注意して検品する。
今度は俺も冷静だから、財布が怪しいものだと直ぐに見分けられた。
「これ・・俺は見極めできないから、買取は無理です」と返したんだ。

家具売り場から旦那さんが呼ぶ。
「この衝立もらうよ、レクサスに積めない時は配達して」と金持らしく威張って大袈裟に言った。
積める訳はないから、「配達は有料ですが・・・」と説明した。

彼女は、「さっきの財布を配達代にしてちょうだい」と言うんだ。
配達代は1千円だった、すると、やはり財布はコピー物だ。
メラメラと女に対して燃える怒りを覚えた。