リサイクル親父の日記

第102話 人生はレインボーだわ、わたし、くよくよしないの

2010/10/01

大量に出張買取をした着物や帯などを陳列したら、それを多数買った中年女性がいた。
仙台市泉区に住んでいるから、車で1時間以上かかって通って来てくれた訳だ。
2度は夕刻に来て長時間かかって楽しそうに選んでいた。

3度目に来た時に、お母さんを連れて来たが、年齢は90歳手前くらいだ。
年齢からは考えられない程若々しいお母さんは、ペンチと古びた素焼きのお面を買うので、又しても俺は驚いてしまった。
そんなお年で大工仕事でもないだろうに、娘さん夫婦に任せればイイではないかと。

一見すると60代にしか目えないし、身体もシャキッとして背筋もピーンと張っている。
歩くスピードも若い世代にも見劣りしない。
買い物をするにも決断が物凄く早い、即断即決するから俺は相当な人だと直感したんだ。

今日は2度目だが、お母さんは娘さんの車に同乗して来てくれた。
娘さんは追加で陳列した着物と帯を選ぶのに余念がない。
時々、娘さんにアドバイスしたりはするが、必要以上のことは言わないらしい・・・

お母さんはサーッと店内を歩き回り、買う物を決めていた。
娘さんが選んでいる間、俺はお母さんにコーヒーを淹れる。
健康の秘訣などを尋ねると、嬉々として話し出す。

若い時に卓球の選手で国体にも出場したから、健康と決断力には自信を持っていた。
娘さんを生んだ後に御主人と死に別れ、大変な辛苦をなめた。
再婚があったり、スパーを経営したり、北海道暮らしをしたりと・・・話してくる。

一般的には波乱万丈で苦労の連続に思えた。
しかし、お母さんはとっても明るく、苦労を苦労に感じないようにしてきたと言った。
「わたし人生は、レインボーだわ、いろんな色があってさ、イイこと、悪いこと・・」

レインボーが俺の胸に刺さった、グサリと印象深く。
「くよくよ考えないの、良くても悪くても終わったらサッサと前に進んできたの・・」
実に爽やかで清々しく言いきったから、重みも有り蘊蓄も有った。

娘さんの清算が終わると、お母さんの買い物が分かる。
「外のベンチ2ツね、スコップも・・・」庭と畑用に買い揃える。
「毎日身体を使わないとね」

そんな元気なお母さんは、きっと120歳まで生きるかも知れないぞ。