リサイクル親父の日記

第105話 キンモクセイの香る仙台リサイクルショップの昼食

2010/10/04

秋も本番ですね、俺の店は広大な敷地の一角にある。
大家さんの事務所が数十メーター先にあるから、他にもラーメン屋さんや床屋さん、マージャン屋さん、バイク屋さんなどが点在する。
大家さんの事務所は元は自宅だったのか塀の中の庭に庭木がたくさん青々と茂っている。

穏やかな秋晴れの空、透き通った青い空、上空を見上げずに日々を送るが、時には芳しい香りに誘われて見上げる。
店の外になんやかんやで出ると、甘酸っぱくて少しキーンと鼻をつく香りがする。
クンクンと俺の鼻が勝手に匂いの先を探るのだ。

鼻先を上目に上げてクンクンと、すると目が空に向く、クンクン・・ああ空が清々しい。
店先を匂いに誘われて数歩進んではクンクン、クルクル見渡す。
一歩二歩と足が自然に向かう先は大家さんの事務所。

5~6m伸びた緑の葉で覆われたキンモクセイに橙色の細かい花々が点々と連なっている。

午前中にお客さんが差し入れをしてくれた。
何かお祝い事でもあったのか、赤飯と野菜サラダ。

突然で予想外の出来事には感謝と感激を覚えるものだ。
いつもコンビニから買ってきて、店で簡単に素早く済ませる俺としては、手作りの昼食がとっても嬉しい。
レジの机でお客さんの視線を気にせずにムシャムシャ食べる俺だけど、手作り赤飯はちょっとそれでは惜しい気もする。

言い訳ではないが、少人数の1人か2人で店番をするので、いちいち昼休み交代を取れない。
だから何でも一人でできるシステム、そうしてレジでお客さんの前でも平気で昼食を取るようになったんです、念のため。
タバコを吸ったり、飯を食ったり、お茶したり、考え方によっては大変無礼かも知れない、だから訝るお客さんも相当いるだろう。

経費を抑えて物をいかに安く売るかを模索した結果なので、俺はこれで経営することに迷いはないのだ。
でも、今日の昼食をレジで食いたくない・・・
透明パックから見える赤飯はモチモチとしてモコモモと粘りっ気を感じさせている。

小粒小豆が黒くランダムに混じっている、箸を持つ手に力を入れて口に運ぶ。
マヨネーズまで添えられたサラダが瑞々しく美味い。
キンモクセイの香る秋空の下でとっても美味しい昼食を・・・・御馳走様でした。