リサイクル親父の日記

第122話 文句ばかり言うから連れてきたのって、名案ですね

2010/10/22

一度リサイクルショップで買い物をして、得をしてしまうと病みつきになる人もいる。
経済的理由が大きいだろうが、新品を買う同額でとっても立派な物を手に入れられるのだ。
俺らもそんな常連さんの期待を裏切らないように、出張買取に精を出さないといけないと常々思う。

1~2年前に店の近くの中古住宅を購入した人が来るようになった。
仙台市中心部から引っ越してきて、部屋数も増えて足りない物を買い求めるようになったのだ。
その都度、必要があると買うのだが、1点毎にじっくり考えて、迷って選ぶ。

乗用車に積める程度の小物が主力である。
ばらせる物はばらして積むんだが、どうしようもない物は配達を頼まれる。
そして俺は彼女と会話をするようになり、親しくもなっていった。

「ガラスのテレビ台は回転するし、イイと思うんだけど・・・薄型にしたの・・」
極最近、地デジに買い替えた。
もう直ぐ届くがテレビ台は買わなかったようだ。

それで俺のリサイクルショップを思い出して、飛んできたようだ。
そのガラステレビ台は四隅の枠はメタリックで、棚板が上下三段と側板がガラスでとれもお洒落なものだった。
半年間しか使用してないからキズも無くて、新品と言ってもおかしくない良品である。

彼女は買いたいと思うが躊躇している。
「主人がねぇ、わたしが買った物にケチを付けるの・・・色が気に入らないとか、大きいとか小さいとか・・・」
俺は無言で聞いていた。

「でも、主人は買い物には行かないで、わたしに指示ばかりしてるの・・そして文句でしょ・・」
不精な俺は旦那さんの気持が分からないわけでもない。
俺も文句やケチはつけないように注意してるが、時々は思わず本音が出て言ったりしてしまうが・・・

「テレビは毎日見るから、是非、旦那さんに検品してもらった方がイイですよ」
「でも、主人は来てくれるかしら?・・二日待っててもらえませんか?頑張るから・・・」
彼女から頼まれて、俺は二日間のテレビ台の保留を約束した。

二日後、彼女がレジに直行してきた。
「連れてきたわ」
その少し後を白髪交じりの旦那さんがノッソノッソと歩いてきて、彼女の誘導でテレビ台に向かった。

彼女が再度レジにやってきた。
「オッケー!気に入ってみたい、これで文句言わせないわよ」
彼女の安堵と嬉しそうな表情に俺も楽しくなってしまった。