リサイクル親父の日記

第126話 5年も・・眼の下のクマで・・それでは・・

2010/10/26

仙台は広いといつも感じる。
今朝は出張買取見積で飲食店に行ったが、軽く片道1時間だもんね。
仕込みの準備があるからその前に来て欲しいと言われて、すると店を6時過ぎに出発する羽目になった。

通勤ラッシュの少し前だから、道は空いていたので快適な気分、爽快なドライブではあった。
仙台の端の方だから、峠あり田んぼ道ありで、少し赤らんだり黄色に変わりだした樹木の中を走行した。
国道沿いの飲食店は直ぐに分かったが、50坪の店舗なのに駐車場が狭く思えた。

「今月か来月に閉めようかと・・夜逃げなんかじゃない・・5年前に新品で揃えたから・・」
その電話で彼が言ったことと駐車場が妙に共通している。
一言でいえばチグハグなのだ。

バランスが悪いのだ、ザックがサッカー日本代表に求めたことと相通じている。
席数の数からして駐車できる台数が少ない。
買取依頼するのに、夜逃げはしないからと啖呵を切る愚かさだ。

それに誰もいない店舗の排気扇(換気扇)が2台稼働していて、フ~フ~と吹き出しているのだ。
彼の車が急いで入ってきたが、俺には目もくれず、裏口に向かって行った。
バランスが悪いを通り越してしまい、常識がないんじゃないかと疑った。

「新品の食器もたくさんあるし、小さな野菜加工機械も何台もあるよ、冷蔵庫も4~5台・・・・」
彼は夢中になって説明しているが、聞けば聞くほど創業時からバランスが悪かったのだと確信した。
「話が決まれば、いつ頃搬出できますか?」と俺が聞いた。

「今月か、来月か・・・夜逃げじゃないよ・・見積金額によって変わるし・・大家は知り合いだから・・・
・・でも、今月出るから・・直ぐに見積を・・・片付けの段取りもあるし・・・」
説明しながらドンドン話が変わっている、彼の心は何処かに飛んでしまっていた。

薄汚れている服装、ジャージーのズボンがヨレヨレだし上着のシャツも垢だらけだ。
ボサボサの髪、どす黒い顔色、だが驚嘆したのは、眼の下のクマが異常に大きくて真っ黒かった。
眼は焦点が定まらないように浮遊している。

過去にも何人も同様な状態に陥った人を見てきた。
ある時は、俺がそんな精神状態だったこともある。
借金に追われ、逃げるに逃げられない、気もそぞろで悶々と出口のない暗闇を彷徨う。

その飲食店は新装開店だから、厨房設備や内装費を見積もると、素人の俺でも2~3000万円はかかっていると分かる。
朝から1人仕込みして営業する店ではない。
新規開業まで抱いていた期待はアッという間にぶっ飛んだに違いない、夢、夢、悪夢を見ないように気をつけましょう。