リサイクル親父の日記

第144話 有料老人ホームに買取に行きました

2010/11/14

出張買取に出かけるが、老人ホームなんてのも時にはある。
事情は詮索せずとも想像できるが、依頼者が実にあっけらかんとしてサバサバしてたりするから、それが自然なのかどうか判然としない。
リサイクルショップとしては、良品の冷蔵庫や小型家具が仕入れできるので有難いが・・・

とても立派な建物で大きくて設備も素晴らしいホームも数多いと感じる。
入居者には個室があって、至れり尽くせりであり、勿論バリアフリーで設備としてはストレスはないだろう。
だから幸せかどうかはちょっとした疑問もある。

娘さんが電話で依頼してきた。
「冷蔵庫にチェスト、テレビが・・まだ買って間もないのよ、今年数ヶ月前ですわ・・・」
要領よくテキパキと説明してくれている。

「見積って、できますか?今直ぐがイイわ」
「それで見積してから、何時引き取りできますか?」と聞いてみた。
「えぇ、その時に直ぐに持って行って欲しいの、今日引き払わないといけないのね」

買取がイコール引取だったり、見積が引き取りだったりする場合がある。
お客さんが、言葉の意味を拡大解釈していて、「買取」や「見積」が「引取」に直結している場合があるのだ。
「4時に玄関に来てください、そこで待ち合わせにしますから、ここは老人ホームですから」

真新しい平屋の大きな建物が2棟並んでいて、駐車場に立派な外車が1台止まっていた。
待ち合わせ時間に俺はトラックを玄関先のスロープ近くに止めると、ガラス越しに年配の女性が手を振ってくれた。
風の強い日だ、トラックを後ろ向きに止め直してから彼女のもとへ向かった。

玄関の一番手前の個室だから、運ぶのも楽だしと一安心して中に入った。
品物は真新しくリサイクルショップには嬉しい、同時に使用感が全くない。
「買取金額って、そんなものかしら、まぁ、イイですから、お願いするわ」

俺が運び方をすると、彼女もクリアーケースを数個、外車に運んでいた。
明るい食堂には数人の女性入居者が思い思いに腰掛けている。
俺の方を風景でも眺めるように見ているようでもあり見ていないようでもある。

帰りのトラックを運転しながら考えた。
どちらの棟の食堂にも男性入居者の姿がなかったのだ、すると、女性専用のホームかも知れない。
俺もいずれ老人ホームに入りたいと思っているが、男だけのホームは嫌だな・・・

幾つになっても男女一緒がイイよ、なんて思った。