リサイクル親父の日記

第164話 願は「家内安全」、仙台リサイクル親父は説明したが・・・

2010/12/04

リサイクルショップだからかどうかは判然としないが、俺の店は変な物が多いかも知れない。
総じて言えば、若者向け商品が大変少ない反面、年配者向けが圧倒的に多いのだ。
近くにヤング向けのリサイクルショップが数軒あるから、どうもそちらに持って行かれているようだ。

その傾向に対抗したくてもしようもないし、ヤング向け商品が揃わない。
それでも細々とやっていけるのは、年配者がそこそこ支持してくれているからだと分かっている。
出張買取や持ち込みの買取でも、ヤング向け商品は少ないから年配者向けに偏る。

年季の入った置き物や飾り物、ヤングが見向きもしない品々がたくさん陳列されてしまっている。
すると益々傾向は強まってしまうが、今となれば俺の店の特徴であろう。
陶器の高さ50cmの布袋さんが手に入った。

陶器製も様々あるが、骨董で古色然とした年代物からピカピカ光っている現代ものまで。
それはピカピカ光ってる現代物で、彩色がケバ過ぎてサイケ調でもあった。
骨董の世界では民芸品とか土産品として低級に見られている。

無傷で新品と見紛うが、値段は物凄く安く付けた。
自転車で30分かけて時々買い物に来るお婆さんがいた。
その布袋さんの前で立ち止まってジーッと見つめて動かない。

俺は彼女が値段に惚れてしまったと気付いた。
やおら彼女が聞いてきた、「これは何ていう神様だい?ご利益はあるのか?」
「七福神の中なの布袋さんですよ、いろんな願掛けですけど・・・」と俺は言い淀んだ。

「置いとくと、何かイイこと有るかね?」と買いたくて、理由を見つけているようだ。
「神様だから、商売繁盛とか健康とか安全とか、金が溜まるとか・・・家内安全・・」
「家内安全か、よし、買うわ」と彼女は即決したんだ。

それから自転車で運んでも割れないような荷造りが始まった。
プチプチビニールに二重に包む、次に段ボール箱にスッポリ入れる。
自転車の荷台に載せて、ゴム紐で二度三度タスキ掛けに括った。

彼女は、これでイイお正月が迎えられると大喜びしてた。
骨董品と呼ばれる物は高くてイイ物で、中古民芸品が安い、それは事実だろう。
しかし、買う人には予算と気持が合えば、これは幸せなことであろう。