リサイクル親父の日記

第165話 思わず「イイんです」と頷きましてぇ~~仙台リサイクル親父は嘘を・・

2010/12/05

俺の店はリサイクルショップであり、何でも取扱するのが特徴でもある。
何でもという表現が誤解も受ける。
故障している物とか使えない物とか、商品になり得ない物まで買取しろと迫られることもある。

正確には、商品になる物は何でも取扱しますが正解なのだ。
更に言うと、アダルトや健康食品的な不確かの物も扱うことはないけど・・・
近所の農家で大地主のおじさんが最近来るようになった。

相続した土地の税金を支払うために、一部の土地を売却処分したそうだ。
まだ数回しか来てないのだが、いつも相続税の話ばかりを口角泡を吹いて話すから、俺は食傷気味である。
裸一貫から生きてきた俺には、莫大な相続で安穏に生きている彼が何を言うのかと呆れもする。

その彼が工具売り場からレバーブロック、ワイヤーロープなどを締める装置をレジに持っていた。
チェーンブロックは荷物を上から引き揚げる時に使うが、レバーブロックは両端フックをロープに掛けて中央部のラチェットをレバーで締める。
レバーをガチャガチャと回して締めつけるのだ。

「これはロープを締める物か?」と確認してきた。
「そうです、レバーブロックです」と説明して、作動を実演して見せた。
「農作業で使えるかも・・・」と独り呟いて、何度も触って試している。

そして「ところで、この棒が少し曲がっているが、大丈夫か?」と聞いてきた。
「えぇ、イイんです」と俺は思わず口から出てしまう。
「そうか、分かった」と納得してくれた。

俺は真剣に説明していたし、何度も同じことの繰り返しだったが試しても見せた。
しかし彼は執拗に手順を何度も聞いていたが、物覚えが悪いようでもあった。
どうやら相続税と立場は反対だが、しつこさは同根で有った。

それでついつい、「イイんです」と言った。
でも、レバーの曲がりは少しだけだし、使用するには何の問題も無かった。