2010/12/08
半年前まで店に品物を売りに来ていた自称エスパーペアがいた。
俺が彼らの言を信じるかどうかではなくて、彼らの言動に興味を持ったのだ。
だから否定はしないけど肯定もしてない。
単に話は話として聞いて、仕事上での付き合いを普通にしていただけだ。
エスパー1号は男である。
エスパー2号は女である、東京から霊感修業で仙台に来て1号に出会って意気投合した仲。
何か念が入っている物には二人は大変敏感に反応する。
二人でそのことを確認し合う姿勢は、常人の俺には奇異だったし、全く理解できなかった。
不思議なことは、二人が真面目に語り合っているし真剣なのだ。
だから邪念を感じて気分悪くなったりもするから、俺の前で顔色は青ざめて身震いが起きたりするのだ。
テレビで見とことがある心霊現象的な状況があるから、俺もビックるもする。
やがて、それぞれの親の看病のために彼らは仕事を止めたから店に来なくなった。
今日、1号が久々に売り物を持って店に来た。
看病疲れで痩せてスマートな姿だが、懐かしくて再会が嬉しかった。
2号は親が亡くなり、東京で生活している。
1号も来年春頃には2号の元へ行くそうだ。
彼らの予知能力や霊感を信じることはないけれど、俺は以前の様に聞いた。
「俺の来年はどうなるの?店はどうだろうか?」
「大丈夫だよ、ちゃんと頑張れば潰れないよ、酒は飲み過ぎない方がイイよ、肝硬変になるかも、不整脈にも気をつけて」
フムフム・・・1号の言葉に俺は素直に頷いた。
そうだよな、健康には歳だし気をつけないと・・・いつものことでもあるね。
東京に行く時に片付けをするから、その時に又、要らない物が出れば持って来るそうだ。
明るい1号の笑顔を見て、俺も心和んだのだった。