リサイクル親父の日記

第193話 父子でこれから?

2011/02/02

そこは俺の店からは遠いのなんのって、それに冬でもあり雪もあるから・・・
でも、電話での成り行き上、場所を聞いてから断るのもどうかと思った。
電話があれば、最初に買取品の内容を確かめるのが普通だ。

1年前の電化製品、冷蔵庫、洗濯機、ヒーター、コタツ、レンジ、ジャー、電気ポットは凄く魅力があった。
仙台市泉区のXXXは、ギョッとするほど遠隔地である。
俺の店は仙台市の南端だから、そこは方角的には北北西かな、そして山や峠を越える感じなのだ。

南北に走る東北自動車道を超えて行くから、山深く雪深いのである。
見積の朝は天気予報が外れて降雪だった、仙台市内は車の大渋滞が頻発している。
郊外の道路という道路は渋滞してるし、路面凍結、又はシャーベット化である。

約束は守るから意味がある。
簡単に反故にはできないけど、緊急事態発生の場合は許されるものでもある。
例え、見積に向かうにしても、どれだけの時間がかかるか全く予想できない。

それに店の駐車場が雪だらけでは商売にならない。
一刻も早く除雪もしないといけない。
だから見積延期の電話をする。 

「そりゃ困るなぁ・・・」と男性は渋る。
「何時間かかるか分かりませんし、日中は気温も上がるから、明日は必ず行きますよ」
融通のきかない人だなと思いつつ電話を切った。

今朝は雪も溶けて普通に走ることができた。
しかし、場所に近づくにしたがって雪が見え隠れするし、特に建物の陰はアイスバーン状で滑るから危ない。
なんとかアパートに辿り着いてインターホンを押す。

「あの、車ね駐車場から出して、路駐でもしてください」とぶっきら棒に指示される始末。
俺は敷地から坂道を下り、雪の残る道路沿いに止めて、戻る。
20台も止めれそうな駐車場は、昼までもあり数台しか止まっていないのだ。

1歳くらいの女の子がヨチヨチ歩きまわっている部屋には、洗濯物がたくさん吊り下がっている。
彼は部屋の仕切りを跨ぎながら品々を示している。
レンジの中は真っ黒に汚れがこびり付いている、コタツの天板は汚れ放題、衣類も散らばり放題。

女の子の物と彼自身の物以外の家電と家具を全て売りたいという。
離婚でもして子供を引き取っている、或は、奥さんが出て行ってしまっている。
彼の実家に戻るのか?

愛想も無く横柄ではあるが、できるだけ査定は頑張ろうかと情けが出ていた。