リサイクル親父の日記

第209話 笑わない奥さんは・・・俺はジョークってたけど

2011/02/23

夫は40歳くらいで奥さんは30代中のご夫婦。
夫の会社の事務機の買取現場である、彼には見積の時に会っていた。
印象は少し暗い感じで、事務所を閉鎖するから気持は察することができた。

当日、事前に片付けをしておく約束、引出の中の物やPCや電話などの配線も外しておく筈だった。
しかし、実際の所、何もなされていず、その時に奥さんと二人で片付けているという具合だ。
俺はかれらの作業の中で、一つ毎に運ぶ羽目になったし、更に、片付けも手伝う状況だ。

エレベーター2基、でも、搬出には1基で間に合うし、俺ら3人はアイドルタイムがかなり出てしまう。
打ち合わせ通りに片付けておけば、こんなことはないのだと恨めしさが湧く。
だから時間がオーバーするし、エレベーターで2倍ほどの上下をせざるを得ない。

ヤキモキして作業を眺めるにも限界はあるから、途中から俺が主導してしまう、だって、俺の方が上手いからね。
俺の癖は作業中でも絶え間なく会話をするということ。
店の従業員には勿論、安全確認もあるし、運ぶ要領の支持もある。

お客さんとは天気やニュースなど当たり障りないこと・・・、少しうち解けたら、仕事などを聞いたりと。
初めから和やかであれば、得意の親父ギャグを連発してしまう。
でも全く受けずにシラケることが頻繁にあるから、俺も未熟さを思い知らされている。

奥さんの作業は緩慢過ぎて、傍目にも嫌々やっている、嫌々やらされている。 
無表情で顔立ちは綺麗なのだが、とても不細工に見える。
部屋の中で俺が発するジョークに無反応で、ゴミ袋にスローモーションよろしく種類を入 れ る。

俺らは行ったり来たり数回しても、彼女のゴミ袋は半分にも満たない。
夫の指示には従いたくも無く、言い返している。
少々の険悪感が漂う仲でも、俺はジョークを発し、会社のことを聞いたりする。

「ソフト関係でしたが・・これから独りでやるんで、人は使ってらんないし・・・」
搬出を終えてから、かれらの荷物が段ボール箱で5個残る。
「下まで運んでもイイですよ、サービスします」と申し出る。

偶然、エレベーターに俺と奥さんが乗り合わせる。
「大変でしょうけど、再スタート頑張ってください」
すると、彼女は初めて笑顔で答える「ありがとうござ・・」