2011/02/28
段ボール箱をレジに持ち込んできた男が、買取を要求してきた。
中には文房具がゴチャゴチャに詰まっている。
鉛筆に消しゴム、ファイル数種類、ハサミ、５０ｍメジャー、ナンバリング、赤青色鉛筆、ザクザクだ。
「もう一箱あるぞ、でも値段次第だな・・どうする？」
こんな場合、俺は一点だけしか考えないようにしている。
相手がどんな人でも、えげつなくても、商売として売り物になるかどうか？仕入れて儲けられるか？
「全部新品だよ！」と男は高飛車な言い方をする。
聞き流しながら中の物を取り出して検品する。
やっぱりと感じたのは、予想通り相当古い未使用品なのだ。
鉛筆は腐らないが、３Ｈや４Ｈでは普通は使わない、ファイルもＢ５では今となっては売れ難い。
ハサミには薄ら茶色い錆が浮ぶ・・・・
「これは２０～３０年前の物じゃないの、買えないよ」と伝える。
「そうかよぉ～、でも買えるんだろ？売れる筈だよ、他のも持って来るよ」
しかし、こっちの箱も同様である。
「無理ですよ、何処の文房具やから持って来たの、買えないよ」
人間には相手の態度でコロっと変わるタイプがいるが、男は典型だ。
カサにかかって来るが、俺が断ると、急変して請願する。
人を見てコロコロ変わる、俺の一番嫌いなタイプでもある。
威張らなくてイイじゃないの、卑屈にならなくてもイイのよ、普通に当たり前に接すればと思う。
「・・ウン・・・な、頼むよ・・・何ぼでもイイからさ、買ってください」だって。
俺は単純で下手に出られると弱い。
「そんなに言うなら、もっと良く調べてみますから・・・」
再度ガチャガチャと段ボール箱の中身を1点毎に検品した。
地下足袋一足、雨合羽、ハサミ、色鉛筆・・・を選び出した。
「これだけしか買えません、残りは持ち帰ってください」
男は金を受け取ると帰ったが、あんまり気分のイイ買取ではない。
売る人が大威張りするのがリサイクルショップの買取でもあり、それを逆手にとって駆け引きしてと虚々実々です。